この記事をまとめると
■リヤ駆動のクルマでは後輪を太くするセッティングが存在する
■フロント駆動のクルマではレースでリヤタイヤを細くするケースがある
■リヤタイヤも含めてバランスを取っているのでフロント駆動でもリヤタイヤは重要だ
FFのリヤタイヤって重要なの?
ポルシェ911を筆頭に、ハイパワーな後輪駆動車は、フロントタイヤに対し、リヤタイヤのサイズを大きくするのが定番だ。そうでないと、駆動輪にかかる強大なエンジンパワーを受け止めきれないのが理由だ。さらにRRやMRだと、リヤタイヤにかかる荷重も大きいので、タイヤのキャパシティが余計に求められるのもその理由のひとつ。
ポルシェ911GT2画像はこちら
なので同じ理屈でいえば、FFはフロントタイヤを大きくしてもいいことになる。
実際、レースではFFのリヤタイヤにフロントよりも固いコンパウンド(グリップの低い)のタイヤを履かせたり、ワンサイズほどタイヤ幅の狭いタイヤを履かせることは珍しくはない。そうすることで、アンダーステアを消して、ニュートラルステアに近づけているわけだ。
グループAの様子画像はこちら
しかし、これは公道を走るクルマにはオススメできない手法だ。
リヤタイヤがコーナーで滑りやすいセッティングは、たしかに曲がりやすく、向きを変えやすい点ではメリットがあるが、反面ごまかしが利かなく、かなりリスキーになってしまう。
真冬にサーキットなどを走ってみるとよくわかるが、負担の小さいFFのリヤタイヤはフロントタイヤに比べて温まりが悪い。そのリヤタイヤだけグリップが低い状態で走ってみると、フルブレーキ時にまずクルマがフラフラするし、旋回中も挙動が不安定になる。立ち上がりもフロントタイヤの動きを上手くトレースできないし、操縦性が悪いのでコーナリングラインも乱れがちになってしまう……。
日産パルサーVZ-R N1画像はこちら
つまり、FFであってもリヤタイヤのグリップはかなり重要で、FFだからといってリヤにプアなタイヤを履くのは避けたほうがいい。
また、市販車は駆動方式にかかわらず、基本的にアンダーステア気味にセッティングされているのはご存じのとおり。
なぜなら、一般ドライバーがオーバースピード気味でコーナーに進入してしまったとしても、アンダーステアのクルマなら、安定感もあるし、減速して向きを変えるための時間的余裕を確保でき、事故のリスクを小さくできるからだ。
ステアリング操作のイメージ画像はこちら
別のいい方をすると、ごまかしが利くセッティングともいえるわけだが、FFでもこうした安全マージンは、リヤタイヤのグリップ力が担保しているので、「FFのリヤタイヤは転がってるだけ」といって、リヤタイヤの重要性を軽視するのはナンセンスだといえるだろう。
さらにいえば、クルマのシャシー性能は、バランスが命といってもいい。
そもそもFFの場合、フロントはストラット、リヤがトーションビームといった具合に、前後のサスペンション形式に差をつけているケースがほとんどだ。
ストラットサスペンションのイメージ画像はこちら
これはサスペンションの違いで、フロントの接地性を高め、リヤは少し接地性を落として前後のバランスをとっていることを意味しているので、タイヤの性能で前後差をつけることは基本的に必要ない。
サーキットでのタイムアタックやジムカーナなどの用途を限定した条件以外では、FFといえども四輪すべてにいいタイヤを履かせることが、安定性やバランスを保つうえでの大事なファクターになると覚えておこう。