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さて。今回お借りしたこのFD2は、K20Aという2リッターのNAエンジンを搭載する。K20Aという型式のエンジン自体は当時のホンダの量産エンジンで、ノーマルのシビックやアコードなどにも積まれていた。しかし、FD2のK20Aは伝統の赤ヘッドを搭載し、タイプR専用に内部をチューニング。225馬力を8000回転で発生させるハイパフォーマンスっぷりだ。
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エクステリアは、当時販売されていたモデューロのエアロを装着。「どれかひとつだけ」みたいな付け方をしている人はたまに見るが、全部が綺麗に揃っているのはかなりレア。筆者自身もとくにこのフロントエアロは初めて見たに等しい(担当者は相当粘って探し出したそう)。
ホンダ・シビックタイプR(FD2)のモデューロ製エアロ画像はこちら
早速乗ってみると、「なにを馬鹿なこといってるんだ」といわれるかもしれないが、まず車内はかなり広く感じる。余計なものがないので、スッキリしているのもそう感じさせる理由かもしれない。EK9と比較するとダッシュボードがかなり大きく、メーターが特徴的な2段階構造なので高さもあることから、前方の視界はぼちぼちだが、慣れれば問題ないだろう。
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そもそもこのFD2はEK9とは違って4ドアセダン。なので、後部座席などもかなり余裕があり、日常使いもバッチリ。ここは歴代シビックタイプRすべてにいえるが、量産車のシビックをベースにしたことによるメリットだろう。
「いやいや。お前は何もわかってない。FD2は足が硬すぎてだな……」という意見もあるだろうが安心してほしい。このホンダアクセスから借りた車両にはモデューロのサスペンションが入っており、サーキットよりも日常使いにスポットを当てた仕様に変更されている。よって、街乗りはそれほど厳しくない。むしろスムースに走れる。足もよく動くので、ドライバー目線で語るのであれば間違いなく楽しい。
ホンダ・シビックタイプR(FD2)のモデューロ製サスペンション画像はこちら
ただ、残念なことにこの足は絶版品。しかし、再販の要望が今でもかなり多いそう。まとまった意見がさらに集まれば、S2000の20周年記念パーツのように復活する可能性が今後あるかもしれない。とりあえず、純正の足が硬すぎると感じたら、社外のサスペンションに変えればある程度乗り心地の面はどうにかなるだろう。
で、乗ってみたフィーリングだが正直にいうとズバリ、「これはいい」。
なにがいいかだが、まず街乗りにおけるラクさがEK9と比較して全然違う。信号待ちからの発進もトルクがあるので走りやすいし、中間域のトルクも必要十分。で、踏むとそこはタイプR。NAエンジンという特性もあって、ずーっと加速が伸びるような不思議な加速をする。とても200馬力そこそこエンジンとは思えなかった。ノーマルマフラーであったが、音もなかなかに勇ましい。
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ハイカムとの切り替わりはB16Bほど露骨ではないが、ここは本来、露骨でないほうがトルクの谷がなくなるので、むしろこれでいい。「i-VTEC」と書かれたインジケーターでハイカムの切り替わりが見えるのも憎い演出だ(ぶんまわすと観察できないほど一瞬で点灯するが)。
まとめると、とにかく乗りやすい。さらに4ドアセダンなので、前述のように車内も広いのだが、車体のサイズはそれほど大きくないので、取りまわしもいい。なお、このクルマはオルガン式のアクセルペダルを採用しているのだが、それも妙に足にあう。これは好みがあるので万人にはおすすめ出来ないが、個人的にはアリだ。
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EK9からFD2まで10年の期間が空いているのだが、「10年でこうも変わるのか」と思わにはいられない。で、ここからさらに16年ほど経つと現在のシビックタイプR(FL5)になるのだが、その進化の差はもう語るまでもない。浦島太郎もびっくりだ。
EK9をはじめとする3ドアハッチバックは個人的にクルマのなかで1番好きな形状なのだが、所有してみてわかったが、使い勝手は想像以上にイマイチ……。これは所有してみてわかったことだが。
今、こうしてEK9、FD2を乗り比べてみると、「ホンダの高回転型NAエンジンを搭載」、「日常使いに向いている4ドアセダン」、「そこそこ新しい部類のクルマ(とはいえ約20年選手だが)」、「中古価格も”まだ”安い」と、わりとメリットが多い。関係者曰く、余裕ではないにしろ、パーツ問題もまだなんとかなるそう。カスタム系パーツも多く、大迫力の太めのホイールを飲み込む懐の深さもFD2の魅力だ。
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ちなみに中古車相場は、なんと200万円以下から400万円ほどの間でさまざまな状態のモデルが探せる。ただし、エンジンを酷使している車体も多いので、状態の見極めには気をつけたいところ。そして価格は下がることはなくても上がることはいくらでもあるので、気になっている人は早めに動くのが吉。中古車は欲しいときが底値であることが多いからだ。
このFD2に搭載されるK20Aはスロットル・バイ・ワイヤということで、7年前の筆者は「どうせ乗るならワイヤー式のスロットルがいい!」と意味不明なこだわりがあって敬遠した過去もあるのだが、乗ってみてなんら不満はなかった。むしろ個人的にはロングドライブを多くするので、「車内が広くてパワーに余裕があるこっちのほうがよかったんじゃないか?」と、乗らなければわからなかったよさに、このタイミングで気づかされてしまった。おのれ、なんだか悔しいぞ。
「3ドアじゃなきゃシビックじゃない!」なんて声もまだまだ多いが、1度乗ればそんな考えもきっと吹き飛ぶはず。とくに「1台でなんでもしたい」という人には、筆者的に2026年激推しの1台かもしれない。
……もう1台増やすか? 試乗後、ソっと中古車サイトを見ていたのは内緒だ。