バリバリの若者がレトロな世界を再現! 日産自動車大学校の学生製作がおじさんにドンズバ【東京オートサロン2026】 (2/2ページ)

聞けば聞くほど見えない苦労がたくさん詰まっている

 続いて、4年制の京都校のグループが製作した「マーチ Eloura(エローラ)」。名前にマーチとあるように、K13型のマーチがベースとなっている。「時代を超えて輝く一台」をキャッチフレーズに、現代の近未来的なデザインの潮流のなかで、それらにとらわれない普遍の魅力を放つイメージがコンセプトの車両だ。「Eloura」というのは、英語で世紀を表す「ERA」と、イタリア語で輝きを表す「(La)Luce」を分解して組み合わせた造語とのこと。

 ベースにK13型のマーチを選んだのは、過去に京都校の2期生(Elouraを製作したのは9期生)が製作した「イタル・マーチ(ニスモ仕様のエンジンを搭載)」が行き場を失っていたことから、それを再生させるところから始めようとなったそうだ。マーチがベースということで、企画のターゲットを20〜30代の女性に定め、丸くて可愛らしいイメージを想定したところ、これも校内に初代のブルーバードがあったので、それを活用したネオ・レトロなスタイルを作る方向で定まったという。

 参考として、1990年代にマーチをベースにして企画されたBe-1などのパイクカーを分析して、「2026年にパイクカーをリリースするならこうしたい」というイメージでカスタムプランをまとめたのだとか。グリルやバンパー、フェンダーミラー、ドアノブ、テールランプユニットなど、キーとなるアイテムは初代ブルーバードから流用しているが、それも一筋縄ではいかない。メッキパーツの再生にあたっては、京都校として初の試みとなったメッキ塗装に挑戦し、専門家を呼んでの施工を行った。ドアノブはまるで機構が違うのを辻褄あわせするのに苦労したが、その甲斐あって不自由なく開閉可能になっている。

 サイドでのポイントは、デザインのキーとなるショルダーラインを通したところだそうで、そのためにボディ側面はほぼ作り直されているようだ。ボンネットもそのラインに合うようにイチから製作したそうで、フロントウインドウ下端のカウルトップパネルの盛り上がりを見ると、全体的に位置が下がっていることがわかる。

 内装では、協賛してもらったシートカバーメーカーに依頼して、車名の刺繍が入った白いカバーでコーディネート。青いボディカラーを空に見立てて、そこに浮かぶ雲のイメージを白で表現しているそうだ。

 3台目の超ワイドなフェンダーが印象的な「Sunny Skyline」も京都校で製作されたもの。こちらは「あの頃の輝きをもう一度」というテーマで、サニークーペ(初代 KB10型)とハコスカを、現代のエッセンスを加えて融合させるというものだ。そのハコスカ風のマスクと、大きく張り出したフェンダーによる迫力のスタイリングは、熟年の来場者の目線を釘付けにしていた。この車両の製作ターゲットはまさにその45〜55歳のオジサマとのことで、製作した生徒たちも大きな手応えを感じていた様子。

 そんなインパクトの大きいこの車両、「なぜベースが初代のサニークーペ?」という疑問が湧くだろう。じつはこの車両のベースとなったのは、京都校の1期生が製作した、S15型シルビアのSR20エンジンに換装が行われたカスタム車両を活かすというところからスタートしたからだそうだ。その車両もフェンダーが拡幅されていたが、今回の企画の製作にあたってハコスカのマスクとのマッチングを皆で話し合った結果、そのままでは合わないと判断して、イチから作り直したんだとか。

 結果的にベース車両よりも幅は広がり、左右合計でノーマル比500mmという超ワイド化。難しかったのはそのフェンダーアーチの造形で、滑らかな面で構成したために測定の基準点が定めづらく、左右の形状を揃えるのが大変だったそうだ。

 このフェンダーは、会場でオジサマ方が釘付けになっていたように、往年の街道レーサーを思い起こさせるテイストにまとまっているが、とても若者にこのエッセンスがあったように思えない。これは、製作の際にいろんな資料を集めて描かれたイメージスケッチを、ターゲットの年齢層に合う知り合いなどを集めて意見を収集した結果だという。

 内装は基本的にノーマルのままだが、旧車の雰囲気を出すために、ダッシュボードに木目、ならぬ本木材のパネルを製作して装着している。

 ちなみにこの「日産自動車大学校」の3台の展示車両は、このオートサロンが終わるとすぐに、会期中に得られた意見などを参考に、次の展示に向けた改修が行われるのだとか。

 京都校の2台は2月に開催される「大阪オートメッセ2026」に、愛知校の1台は横浜の「ノスタルジック2デイズ」と、5月に開催の「オートメッセ in 愛知2026」に、それぞれ展示予定とのことなので、実物をその目で見たいという人は、お化粧直しされた姿を見に行ってみてほしい。


この記事の画像ギャラリー

往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

新着情報