ジャガーに却下されたデザインが韓国車でまんま登場! ジウジアーロ作の幻のXJ「ケンジントン」とは (2/2ページ)

ボツになった名作デザインは消えなかった

 ところが、ジャガーはこの「まろやかXJ」に対してイエスとはいわず、ジウジアーロにケンジントンの権利を突き返してしまいました。1990年は折しもフォードがジャガーを買収したタイミングということもあり、アメリカの意見も反映されたのかもしれません。実際、フォード傘下でフルモデルチェンジしたXJ(X300)はキープコンセプトを絵に描いたようなモデルでしたからね。で、自らケンジントンを売らねば元も子もないジウジアーロは韓国の大宇に提案したところ、これが上手く食いついてくれたのです。

 ちょうど大宇はミドルクラスセダンの新型モデルを作ろうとしていたところで、ケンジントンは「レガンザ」に名を変え、韓国で生産されることになったのでした。無論、ジャガーに寄せていたデザイン、フロントマスクやリヤスタイルは大宇向けに修正され、インテリアもクラスに見合ったデザインに変更されています。それでも、ゆるやかな弧を描くルーフラインや、サイドウインドウはみまごうことなくケンジントン(笑)。これがウケたのか、1990年代末の韓国内でもそこそこのヒット作となった模様。

 さらに、ケンジントンやレガンザをしげしげ見ていると、なにやら思い出すのは初代アリスト(レクサスGS300)ソックリじゃないかと。ご承知のとおり、アリストはジウジアーロの作品ですが、いくらなんでも似すぎじゃないの! といいたくなるのもごもっとも。イタルデザインのいい訳というかステートメントでは「アリストは1988年から手がけており、ケンジントンと重複する時期もあったが、あくまでトヨタ向けの独立デザインである」とのこと。これにはトヨタも呆れたのか、2代目アリストからは社内デザインを採用。とはいえ、初代の人気は非常に高かったことから、キープコンセプトなスタイルとなりました。

 人気カロッツェリアのイタルデザイン、ジウジアーロとはいえ、これらの錯綜した流れにはちょっと眉をひそめたくなるもの。それだけ、デザイン界隈のビジネスは難しいということにほかなりませんね。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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