創意工夫あふれる力作
このご時世、3Dセンサーで実物の形状を読み込んだり、あるいはCAD上でモデリングをおこない、出力は3Dプリンターでおこなうという、ほぼ手を汚さずに最終仕上げ手前までの造形がおこなえる時代になっていますが、このポルシェの造形に際しては、学校のカスタム課程の集大成という意味合いから、造形技術を身につけるためにハンドメイドという方法を採っています。
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レプリカを作るには、まず元車両の形状データを採集することが重要ですが、このプロジェクトでは手作業にこだわり、ミニチュアの模型を採寸して、それをスケールアップさせた寸法を元にテンプレートを制作して、造形のガイドにしたとのこと。
なんと基本的な造形方法は、アルミの1枚板を曲げておこなっているそうです。複雑に面が連なる部分も、“イングリッシュホイール”や“シュリンカー”、“ストレッチャー”という、板を部分的に縮めたり伸ばしたりする工具を用いて成形していきます。この道数十年というマイスターレベルの監修の村手さんの場合は、ほとんどパテを使わずに最終の面成形まで進めてしまいますが、これが初挑戦という学生は、最後の調整としてパテで面を整えていったそうです。それでも主要な面の部分はアルミの地肌が残っていて、造形に挑む志の高さがうかがえます。
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そうしてつくりあげたなめらかな曲面を、3年の間に培った板金塗装技術をフル活用して仕上げをおこなっていきます。特徴的な水色と赤のストライプは塗り分けでおこない、ロゴや文字類はカッティングマシンで作ったものを貼って仕上げています。
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「難しかったところは?」と尋ねてみると、「ベースのコペンの造形が残っているウインドウ部分やドア面と、作り込むポルシェの面とのつじつま合わせに苦労しました」とのこと。ポルシェが持つ綺麗な面を極力活かすように整えるのは、想像より大変なようです。
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ちなみに制作期間は4年生の1年間ですが、実際の造形作業は9月からとのことで、5カ月足らずというハイペースで塗装まで仕上げたことになります。
「見てほしいところは?」との質問には、4人がそれぞれ担当した箇所の部分を挙げ、まるで我が子のように“この子”と呼ぶ生徒さんもいたほど、愛着を強く感じているようです。
ちなみにこれだけワイドなリヤフェンダーを備えていますが、ベースがコペンのため、フロントフードの下にはエンジンが収まっていて、フロントタイヤを駆動するというおもしろい仕様となっています。
職人と学生が5カ月で仕上げた伝説のレーシングカー「ポルシェRSR」がスゴかった【大阪オートメッセ2026】画像はこちら
フードを開けてもらうと、かなり攻めたギリギリの位置にエンジンの頭がありました。ポルシェらしい造形を求めた結果の状態です。この車両はこの「大阪オートメッセ2026」が終わった後も、あちこちのイベントに展示を考えているそうなので、見逃したという人はそのチャンスに乗ってみてください。