この記事をまとめると
■ドラレコ映像は警察から求められても原則は任意提出である
■裁判所の文書提出命令や保険会社の協力義務には注意が必要
■編集や切り取りは厳禁で生データ提出が信用性を左右する
警察への提出は「任意」で提出義務はないが……
いまや多くの新車に装着され、もはやクルマには「現代の必需品」となったドライブレコーダー(ドラレコ)。かつてはタクシーやトラックなど商用車の装備だったが、あおり運転の社会問題化などもあり、我々一般ドライバーにとっても、万が一のときの重要な自己防衛ツールとなっている。
しかし、いざ事故の当事者になったとき、録画されたSDカードをどう扱うべきか、正確に理解しているだろうか。「警察に言われたら絶対に出さないといけないのか?」「自分に不利な映像でも提出義務はあるのか?」「見やすいように編集して渡してもいいのか?」。これらは、事故に遭ったドライバーが直面する疑問である。2026年現在の法的解釈をもとに、ドラレコ映像の「証拠」としての実態を解説しよう。
ドライブレコーダーのイメージ画像はこちら
結論からいえば、交通事故の現場で警察官に「ドラレコの映像を見せてください」「提出してください」といわれたとしても、法的な提出義務はない。あくまで「任意提出」の範疇であり、これを拒否したからといって即座に罰せられることはない 。
だからといって「義務じゃないなら出しません」と突っぱねるのか? いや、それは得策ではない。もし警察が事故の真相解明にその映像が不可欠だと判断すれば、裁判所から民事訴訟法220条に基づく「文書提出命令」が出されることになる。その場合、原則として提出義務が生じ、これを拒否すると相手方の主張が真実と認められ、判決で不利になる可能性がある。
また、現場でかたくなに提出を拒めば、「自分に都合の悪い証拠を隠そうとしているのではないか」あるいは「証拠隠滅のおそれがある」とみなされるリスクがある。とくに自分に過失がない、あるいは少ないと主張したい場合、ドラレコ映像は「いったいわない」の水掛け論を終わらせる決定的な証拠となりうる。自分の正当性を証明したければ、任意提出の段階で協力したほうが解決への近道となる。
事故現場のイメージ画像はこちら
なお、保険会社への提出に関しては、多くの自動車保険約款に「協力義務」が定められている。正当な理由なく提出を拒むと、調査への非協力とみなされ、保険金の支払いに支障をきたす可能性がある点も忘れてはならない。