良くも悪くもBEVっぽさを感じさせないeビターラ
サスペンション特性はよく動くしなやかな味つけが印象的だ。BEVの低重心の恩恵も相まって乗り心地のよさに対して余計なロールやピッチングが少なく、フラットライドな乗り味が好印象だった。一方で、ステアリングのニュートラル付近の精度に若干の緩みがあるため、スポーティでリニアなハンドリングは叶わない。あくまでも街乗り重視の使いやすさをベースにしているのだ。
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eビターラのドライブモードはアクセル操作に対する加速レスポンスが変わる。ノーマル/エコ/スポーツから選択でき、最大トルク307N・mと出力の高い4WDモデルでは終始エコモードでも十分なパワーと扱いやすい加速コントロール性があるため、日常生活ではエコモードがイチオシだ。
一方、2WDモデルは軽快な走りが特徴的だった。リヤモーターなどがないことから4WDと比べて約100kg軽く、クルマがスイスイと気もちよく走る。主体となるフロントモーターは同じスペックで、最大トルク193N・mとなるためパワー不足感はあまりなく、街乗りメインと考えれば十分だ。
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しかし、ドライブモードの味つけが出力の高い4WDと差別化されていないのか、出力が低い2WDモデルではアクセル操作量に対して加速感が付いてきていない印象があり、発進のたびに大きく踏み込まなければならない。スペック的にはパワー不足ではないため、味つけの差別化が足りない印象があり、もったいないと感じる。
EVならではとなるイージードライブペダル(ワンペダルモード)が両グレードに共通して用意されおり、回生レベルは弱/中/強の3段階から選べる。しかしこの切り替え操作に難があり、パドルや独立スイッチが装備されていないため、タッチパネル式のセンターモニターを操作しなければならない。それだけならまだ理解ができるが、操作可能なのは停車時のみで、走行中に切り替えることができないのは大きな疑問が残る。
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ラリーでもそうだが、地域や道が変わればカーブのクセが変わる。そのクセに設定した回生レベルが合わないたびに、一度クルマを止め、モニター画面から階層をいくつか操作しなければならないのだ。
もう一点、eビターラにはコースティングモードが搭載されていない。航続距離を向上させるためにも極力エネルギーを使わずに移動できる時間を増やすトレンドが欧州でも広がっている。走行距離にかかわるバッテリー容量でいうと、eビターラには2種類の容量が設定されており、49kWhの2WDは一充電当たり433Km(WLTCモード)走行でき、61kWhの2WDでは520km(WLTCモード)、4WDでは472kmとなる。その航続距離を達成するために、eビターラには空気抵抗を減らすためのフロントバンパーに搭載されたグリルシャッターやAeroホイールなどを採用した。採用しているからこそ、コースティングの効果も大きくなるはずだ。回生レベルの切り替え方法の確立、そしてコースティングの採用は今後の改良の際にぜひ検討して頂きたいものだ。
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BEV界では後発となるeビターラだが、BEVならではの便利な機能や必要な機能、ADASなどはほぼ搭載されている。V2LやV2Hなどにも対応し、災害時にも強い味方になるだろう。また、全国のスズキ販売店のうち161店舗に50kWの急速充電器の設置が完了し(2026年1月末時点)、eモビリティパワーに加盟したことは、EVライフを送るなかで大きな安心材料となるはずだ。
eビターラはずば抜けた性能や尖った個性をあえて盛り込まず、日常の生活のなかでいかに扱いやすく安心して乗れるかに振ったモデルといえる。初めてのEVとして迎え入れる人でも満足度は高いだろう。みなさんも一度はeビターラを体験して欲しい。
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