この記事をまとめると
■ヒョンデは2026年1月のCESにて人型ロボット「アトラス」を発表
■メーカー内では人型ロボットの導入を反対する声が多い
■世界的に人手不足なので労働力の確保が今後の課題になりそうだ
人型ロボットがクルマを作る時代が現実に
韓国のヒョンデ自動車は2026年1月にアメリカ・ネバダ州ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2026において、ヒューマノイド(人型ロボット)アトラスを発表した。そしてこのアトラスは2028年までにHMGMA(ヒョンデ・モーター・グループ・メタプラント・アメリカ)に導入し、部品供給作業を担う予定であることも発表した。
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ところがこの動きに思わぬところから横やりが入った。報道によるとヒョンデ自動車グループ労働組合が、労使合意のないヒューマノイド導入へ反対を表明したのである。ただし単なるヒューマノイド導入に対する反対だけではなく、韓国からアメリカの工場への生産移管懸念も含めての反対表明となっているようだ。報道では、ヒョンデには直接関係ないものの、すでに中国の製造現場では実際に同じようなヒューマノイドが生産現場で活躍しているとも報じている。
労使間の課題といえば、これまでは賃金交渉や人員削減問題などがメインであったと思われるが、今後はヒューマノイドの導入に関しての労使交渉というものが、出てくることになりそうだ。たしかに生産現場で働く人にとっては、食事も睡眠も必要なく、休日や賃金アップも要求しないヒューマノイドの現場導入は死活問題に近いものとなるだろう。
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ヒューマノイドは今のところ単なる機械(将来的には権利を認めろといい出す人も出てくるかもしれない)なので、本来雇用関係は成立せず、当然労使間交渉は介在しないのだが、導入過渡期には今までそこで働いてきた人たちとのヒューマノイドに関する労使間交渉というものが出てくることになるようだ。
少子高齢化といえば、世界的には日本が最先端レベルなことは変わらないようなのだが、中国でもすでに深刻な問題となっており、東南アジア各国でもすでにその傾向が出てきている。各国政府はその対応に追われているが、つまり自国での現役労働者人口が減るからといって、安易に海外に働き手を求めたり、海外に生産拠点を移すといったフォーマットの展開が難しくなってきているのだ。
そのため中国や韓国は、先手を打つ形でヒューマノイドに力を入れているようなのである。たとえば東アジアで働き手が足りないといって海外から呼び込もうとしても、今はアフリカ諸国あたりからの導入を検討しなければならないともいわれている。
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そこで疑問なのが、世界でももっとも少子高齢化の進んでいる日本の現状である。日本もつい最近までヒューマノイドの開発に積極的ともいわれていたが、今はクルマ業界だけに限らず、働き手不足対策として広く海外人材の導入を進めている。産業用ロボットの導入ではいち早い行動をとった日本だが、慎重に物事を判断してから行動するのが日本社会なので、日本でも水面下ではヒューマノイドを広く労働現場に導入しようとの動きはあるのかもしれないが、中国や韓国のような具体的なアクションには至っていないように見える。
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ヒョンデのヒューマノイド導入予定はアメリカの工場となっているが、その動きが韓国国内のあらゆる労働現場にも及ぶだろうとの想像は誰でもつく話。調べてみると韓国国内での移民人口は全体の約5%(日本は約3%)程度となっているが、不法滞在者はこの5倍はいるとの報道もある。人口も含め日本の2分の1程度の市場規模ともいわれる濃密な韓国社会にあって、移民問題も日本をはるかに超えるレベルとなっているようである。
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ヒューマノイド導入がそのまま移民問題解決の手段と安易に直結させるつもりはないが、すでに世界の多くで少子高齢化が問題化し、有能な人材についてはまさに奪い合いとなっているなかでは、労働力確保の有効手段のひとつとはいえるだろう。