「乗り心地なんて悪くたってグリップ重視で幅広偏平タイヤだろ!」……は半分不正解! タイヤの偏平と幅と走りの真実とは

この記事をまとめると

■カスタムの世界ではタイヤは太く薄い方が格好いいとされている

■タイヤサイズを変えるとギヤ比なども変わりデメリットも多い

■変えるなら上級グレードと同じサイズか純正オプションサイズを選ぶのが無難だ

タイヤサイズの変更はどこまでならOK?

 どこの誰に刷り込まれたのかはわからないが、クルマはぶっといタイヤを履かせると、カッコよく見えることになっているらしい。同時に薄く見えるタイヤ、つまり偏平に見えるタイヤも評価が高い。

 一方、タイヤを交換する際に、タイヤの外径を純正装着タイヤと同じにしないと、ギヤ比が変わることと同じになってしまうので、外径を変えずに太いタイヤにしたければ、ホイールをインチアップして、ロープロファイルタイヤを履くしかない。

 したがって、ドレスアップ派はこぞって超偏平率の太いタイヤを好むわけだが、その際、どこまで太いタイヤなら許されるのだろうか?

 法規的には、保安基準適合内(フェンダーからはみ出ないツライチまで)ならOKだが、幅の広いタイヤ=太いタイヤはよくも悪くも路面の影響を受けやすい。わだちや路面の段差、路面のうねり、路面のミューの変化など、接地面の変化に敏感に反応するのもロープロファイルの太いタイヤの定め。またインチアップすると必然的にバネ下重量も重たくなるので、乗り心地と路面追従性、燃費にも悪影響が出てくる。

 つまり、太いタイヤで操縦安定性とコンフォート性を両立させることは理屈上、難しいというわけだ。そのため、オールラウンドな性能・走りを求めるのなら、ちょうどいい落としどころを考えなければいけない。

 では、その走りとルックスを両立させるサイズアップの上限は、どのあたりにあるのか?

 一番わかりやすいのは、車種ごとの最上級グレードに設定されているタイヤサイズや、メーカーのオプション設定値のタイヤサイズだ。たとえば日産のフェアレディZ(RZ34)の場合、ベースグレードのタイヤサイズは、前後245/45R18。それがバージョンS / STになると、フロント255/40R19、リヤ275/35R19と太くなる。さらにNISMO仕様ではフロント255/40R19、リヤ285/35R19を履いている。このRZ34の例では、NISMO仕様のフロント255/40R19、リヤ285/35R19がひとつの落としどころと考えればいいだろう。

 余談だが、タイヤを太くすると接地面積が大きくなって、グリップ力が増すというのは間違い。接地面積はタイヤにかかる荷重と空気圧が同じなら、太いタイヤでも細いタイヤでも変わらない。接地面の形が縦長になるか横長になるかの違いで、タイヤ1本あたりの接地面積はタイヤの太さにかかわらず、手のひら1枚分程度の接地面積しかないのだ(接地面積はほとんど空気圧で決まり、空気圧が低いほど接地面積が増えるが、空気圧が低いと耐荷重も減るので、指定空気圧より低い設定で走るのは危険)。

「太いタイヤのほうが、コーナリング時のグリップがいい」といわれる背景には、内部構造のベルトの幅が広く、トレッド面がゆがみにくくなるからだ。加えて、おそらくコンパウンドも細いタイヤより柔らかいものを使っているはず。そのためこの手のタイヤはライフが短く、コストも高い傾向にある。

 リッチな人ならそれでもOKなのかもしれないが、そうでない人は見栄を張って、わざわざ高価なぶっといタイヤを履くよりも、適切なサイズのタイヤを早め早めに交換して、よりフレッシュな状態で使った方が、快適でパフォーマンス的にも良好な走りが楽しめるはずなので、タイヤのインチアップはほどほどに⁉


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藤田竜太 FUJITA RYUTA

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