高級でシックなマツダの新世代店舗が拡大中! まるでブティックかホテルのようだが「マイナス面」もチラホラ

この記事をまとめると

マツダは初代CX-5を起点に商品を趣味性重視へ転換し路線を大きく変更した

■販売減少と店舗縮小の一方で新世代店舗を半数超へ拡大中である

■高級化の効果の一方で地域適合など課題も浮き彫りになった

規模より質を選ぶブランド戦略は吉と出るか

 日本の自動車メーカーのなかで近年、大きな路線変更を行ったのがマツダだ。2012年に発売された初代CX-5から「魂動デザイン」と「スカイアクティブ技術」に基づき、カッコよくて運転の楽しいクルマづくりを行っている。

 現在CX-5は2代目にフルモデルチェンジしており、2026年中には3代目が登場する。販売店では「現行CX-5の受注は、ガソリンエンジン車が3月生産分まで、クリーンディーゼル車は6月生産分までで受注を終了する」としている。なお、ほかの現行マツダ車も、他社から供給を受けるOEMの軽自動車や商用車を除くと、全車が「魂動デザイン」と「スカイアクティブ技術」に基づく。

 その一方で、販売店の造りにも変化が見られる。2014年にマツダは「新世代店舗」を公表して、従来とは異なる店舗が増え始めた。新しい店舗では、店内が少し暗く、オシャレな雰囲気で高級感もある。クルマの販売店というより、ブティックやカフェ、ホテルのロビーなどを連想させる。

 なぜこのような店舗が生まれたのか。それは魂動デザインに基づいてデザインされたマツダ車を際立たせるためだ。鮮やかなソウルレッドクリスタルメタリックは、少し暗い店内との色彩バランスが優れている。

 また近年では、取り扱い車種のカテゴリーが変化したことも影響を与えた。いまのマツダでもっとも車種数の多いカテゴリーはSUVで、スポーツカーのロードスターも健在だ。

 そのかわり、ミニバンのプレマシーとビアンテ、背の高いコンパクトカーのベリーサなどは廃止された。車内の広い実用的な車種がなくなり、趣味性の強いクルマに特化させたことも「新世代店舗」が推進されている理由だ。

 ちなみにマツダの国内販売台数は、2010年は約22万台だったが、2025年は約15万台に減った。比率に換算すれば、15年前の70%以下だ。そのために店舗数も縮小され、以前のマツダは国内で1000店舗近くを展開したが、現在は約550店舗に留まる。

 以上のように、2012年以降のマツダは、国内の販売台数、店舗数ともに減少した。その代わり販売車種の価格帯を高め、店舗の上質感も向上させている。都市部を中心に、新世代店舗を約300店舗、つまり国内店舗全体の半数以上に増やす予定だ。

 しかし、新世代店舗には欠点もある。店内が全般的に暗く、ソウルレッドクリスタルメタリック以外の外装色は沈んで見えにくい。とくに内装が辛い。いまのマツダ車は内装を緻密に作り込んでいるのに、車内が暗いとそのよさがわかりにくい。

 また、販売店の商談は時間を要するため、ユーザーは休日に家族全員で訪れることが多い。退屈した子どもが店内をひとりで歩くこともあるが、店内が暗いと親から見えにくく心配になる。クルマの販売店は明るいほうがいい。

 新世代店舗はコストも高く、出店している地域に住むユーザーの好みや気風により、馴染みやすさにも差が生じる。クルマの販売店では、来店者に出す飲み物も、高齢者の多い地域は上質な玉露を使うなど工夫しているものだ。川を隔てただけで住む人の気風が変わることもある。基本的にクルマの売り方、店舗のつくり方は、販売店や販売会社の方針に任せたほうがいい。

 そのために、マツダの新世代店舗も、2014年ごろに比べて変化してきた。落ち着いた雰囲気をもたせながら、壁の色彩や店内の照明を明るくしている店舗もある。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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