チーフデザイナーの急死で下された決断とは……美しすぎるアストンマーティン「DB9」はいかにして生まれたのか【21世紀スーパーカーFILE #020】 (2/2ページ)

2016年まで生産が継続されたロングライフモデル

 2003年にDB9のネーミングとともに発表された、アストンマーティンの新世代2+2GTがまず大きな話題を呼んだのは、やはりその流麗なスタイリングだった。このボディに包み込まれるモノコックタブは、アストンマーティン自身が「Vertical Horizontal Platform(VH=垂直・水平プラットフォーム)」と呼ぶもので、アルミニウムを主材料に、押し出し成型やプレス成型、あるいは鋳造成型など、さまざまな製法で完成された部材を、独自の接着技術によって組み合わせた、軽量でかつ高剛性なもの。

 参考までに重量は275kgと発表されていた。そしてこのVHプラットフォームは、さらに改良を続けながら、その後も多くのアストンマーティン車に受け継がれていくことになる。

 長く、そして美しいボンネットフードの下に搭載されたエンジンは、5935ccのV型12気筒DOHC自然吸気。最高出力は456馬力、最大トルクは570Nmという数字で、前後重量配分を最適化するためにフロント・ミッドシップの搭載方法を実現したほか、組み合わされる6速MT、もしくは6速AT(タッチトロニック2)もリヤに配置。エンジンとミッションは、軽量なカーボンファイバー製のテールシャフトを内蔵する、鋳造アルミニウム製のトルクチューブで接続される仕組みだ。

 そしてアストンマーティンは、このDB9において50:50という理想的な前後重量配分を実現したのである。ボディパネルのほとんどをアルミニウム製としたことで、6速AT仕様でも1800kgに抑えられた車重は、0-100km/h加速で5.1秒という運動性能に大きく貢献。最高速は300km/hとされていた。

 DB9は2003年から稼働したワーウイックシャー州ゲイドンにある新たなアストンマーティンの本社工場で生産された、最初のモデルでもあった。翌2004年にはオープン仕様の「DB9ヴォランテ」も追加設定されたほか、2008年と2012年にはさらにその魅力を高めるためのマイナーチェンジも実施。生産は最終的に2016年まで継続され、その後は後継車の「DB11」へとその市場を譲ることになる。

 2004年からアストマーティン・レーシングがレースに投入した「DB9R」や「DBRS9」の活躍も、モータースポーツのファンには忘れられないものだろう。


この記事の画像ギャラリー

山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

新着情報