最後に生き残る「エンジン車」は趣味の世界じゃない! コスト云々なんて次元じゃない世界のクルマとは

この記事をまとめると

■イラン情勢がEV移行を後押しする可能性がある

■化石燃料インフラ縮小でエンジン車は減少へ

■最後まで残る存在としては軍用車両が挙げられる

イラン戦争が加速させる脱エンジン社会

 EV(電気自動車)の普及は減速している……というのは、自動車好きのコンセンサスかもしれない。一方で、イラン戦争に伴うホルムズ海峡の封鎖などから、化石燃料に頼らないモビリティを求める声も大きくなっている。

 日本では補助金によって実感していないかもしれないが、欧米では庶民レベルでも高騰するガソリン価格への自衛手段としてEVを選ぶマインドは強くなっているという声もある。

 グローバルにみると、国家レベルではエネルギー安全保障につながる手段として、再生エネルギー&EVという組み合わせは有効といわれている。じつは日本でも内閣府がかかげる戦略17分野に、フュージョンエネルギー(核融合発電)が入っているなど、電力エネルギーを自給自足することは、エネルギー安全保障の柱となっていたりする。

 EV補助金を廃止するなど、ともすればアメリカ・トランプ政権は反EV路線のイメージが強い。だが、トランプ政権が仕掛けたイラン戦争による「令和のオイルショック」は、結果的にEVシフトを進めるインセンティブを生んでいるのかもしれない。

 かつてのオイルショックが省燃費な日本車を世界に認めさせたように、主要エネルギーを原油に頼るリスクが顕在化した時代において、EVに限らず非エンジン車への移行は確実に進んでいくだろう。

 はたして、そうした時代になったとして最後までエンジンが残る可能性があるカテゴリーとして考えられるものはなんだろうか。

 よくいわれるのは、フェラーリのようなスーパースポーツ、ランドクルーザーに代表される極限で使われるオフローダーであろう。

 前者は趣味性が強く、どんなにガソリン価格が高くなっても購入できるだけの財力をオーナーは有しているだろう。後者のオフローダーについては、充電環境が整備されていない荒野を走り切るためには化石燃料を使うことが最適解とされている。

 しかしながら、多くのユーザーがEVに乗るようになった世界において、一般向けに原油を精製してガソリンや軽油を供給するということは難しくなるだろう。EVの普及が進むと、ビジネスとして化石燃料インフラを維持することは不可能になっていくはずだ。

 つまり、エンジンが残るのはビジネス(資本主義)のロジックとは別の世界に限られる。

 そうした視点で考えると、おそらく最後まで残るエンジンは軍用車両に載せられたものになるのではないだろうか。

 バッテリーのエネルギー密度から考えると、航空機を電力で飛ばすことは難しい。化石燃料のジェット燃料は将来的にも残ると考えられる。それでも原油の精製は現代のレベルからすると本当に少量で済むだろう。精製の際に副産物として生まれるガソリンや軽油で戦車を含む軍用車両を動かすというのは、化石燃料の活用法として理にかなっていると思う。

 燃料のロジスティクス的にも軍用に限れば効率的だろうし、なにより戦争というシチュエーションにおいて電力を確保することは難しい。運搬が容易な液体燃料を用いることは合理的な判断といえる。

 そして、市街地を走行する機会もある軍用車両はPHEVが選ばれるだろう。日常的には充電インフラを使用できるし、ステルス性が増すという軍用車両らしいメリットもあるからだ。

 いずれにしても、反EVの旗手だったトランプ政権が関わったイラン戦争により、それが民間レベルでの脱エンジンマインドを強めている。その一方で、オイルショックの原因となった戦場というステージでは最後までエンジンが残り得るという、なんとも皮肉な未来予想となったが、あなたはどう考えるだろうか。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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