この記事をまとめると
■DSの新フラッグシップ「N°8」が日本上陸を果たした
■実際にN°8に触れると工芸品のような内装と圧倒的な静粛性に驚愕した
■DS N°8はドイツ御三家とは別世界のベクトルにある陶酔系高級車だった
フランス車きってのラグジュアリーEVが日本上陸
DSオートモビルズというブランドのクルマは、人によっては理解が難しいと感じるかもしれない。フランス映画、とりわけジャン・リュック・ゴダールの映画がそうであるように。そして、その世界観を知ってしまうと、気持ちが絡め取られるように惹かれてしまうこともよく似てると思う。フランスという国には、そういう不思議な魔力をもつものが少なくない。一番であることより唯一であることを大切にし、個性と多様性があらゆるところに漂うお国柄がベースにあるからだろう。
DS N°8のリヤエンブレム画像はこちら
フランス人がフランス人のために作る、フランスならではの高級車ブランド。DSを説明するとしたら、そんな感じだろうか。独創的なメカニズムやほかでは見られない妙味のある印象的なデザイン、ひと言でまとめるならアヴァンギャルドであることが特徴的だったシトロエンから枝分かれして誕生したDSは、それだからして、やはり”ありがち”なクルマは作らない。
上陸したての「N°8」は、その最たるものだな、と対面して心から実感した。日本ではナンバーエイト、本国ではヌメロ・ユイットと呼ばれるN°8は、なにせDSブランドのフラッグシップにあたるモデルだ。ブランドとしてのクルマ作りの哲学が色濃く反映されているのが自然なのだから。
DS N°8と嶋田智之さん画像はこちら
そのスタイリングからして、少しもありがちじゃない。クーペなのかSUVなのかファストバックセダンなのか、あるいはそのすべてなのか。言葉で表現するのが難しいのだけど、なぜか惹かれるフォルムだ。余分な線がないのに妙に彫刻的な印象を受けるのも、シャープさと柔らかさが矛盾なく同居してるのも、クロームメッキがほとんど見受けられないのに高級感がしっかり演出できてるのも、とても不思議だ。
ボディサイズは全長は4845mm、全幅は1900mm、全高は1585mm、そしてホイールベースは2905mm。それなりのサイズだが、実際の数値よりもさらに堂々として見えるのは、存在感が強いことの証といえるだろう。
DS N°8のリヤスタイリング画像はこちら
ドアを開けて溜息が出たのは、あらゆるところに──それこそドリンクホルダーの蓋にまで──たっぷりと張り巡らされた最上級のナッパレザーが作り出す贅沢な空気感だ。
DSはサヴォア・フェール──日本語で言うなら「巧みの技」か──と呼ばれる彼の地で培われた伝統的な専門技術や芸術性をたっぷり盛り込んだクルマづくりを旨としていて、そのひとつひとつを視覚や触覚で味わいやすいのがこのインテリア。
DS N°8のインテリア画像はこちら
たとえば各部にあしらわれた繊細なパールトップのステッチ。ダッシュボードやドア、コンソールなどに配された、ルーヴルにあるガラスのピラミッドのような細かい刻印を精緻に配列したギョーシェ彫りによるクル・ド・パリ文様。シートにあしらわれたウォッチストラップのような複雑なパターン。それらが生み出す陰影の美しさや優美な雰囲気には、理屈抜きに惹かれる。まるで工芸品に囲まれてるかのような、特別感のある空間だ。