寒くなるとタイヤからスパイクが飛び出すってなんじゃそりゃ! 北欧のノキアンが「寒いとスパイク」「普段はスタッドレス」という凄いタイヤを開発していた (2/2ページ)

スパイクタイヤとスタッドレスタイヤに切り替わる!?

 ではこの「ハッカペリッタ01」、なにが凄いのか。それはタイヤの構造にある。先のダンロップのシンクロウェザーのように温度に応じてゴムの硬さが変わる……だけでなく、なんとタイヤ内から鋲が飛び出すのだ! そう。つまり状況に応じてスパイクタイヤに早変わりするという、前代未聞の仕組みを備えている。

 スパイクタイヤとは、タイヤに鋲が打ってあり、氷上路でそれが食い込むことで、スタッドレスタイヤでは得られない、圧倒的なグリップ力を発揮するというもの。スタッドレスタイヤの”スタッド”はこの鋲を指し、それが”レス(ない)”からスタッドレスタイヤというわけだ。しかし、積雪路や氷上路以外ではこの鋲がアスファルトを削って粉塵を発生し、環境や健康に悪いということで1991年に国内販売は終了、使用も原則禁止に。現在でも一部地域と車両を除いて使えない。

 当時使っていた人から、「氷上をドライ路面みたいに走れるから凄いよ。使えるならいまでもあれが1番」と聞いたことがある。なお、海外ではOKな地域も多いので、日本のメーカーも海外向けには製造していたりするそうだ。

 話をこの「ハッカペリッタ01」に戻すと、2014年にコンセプトモデルが発表されて以来、現在までに数千本以上の試作品をテストしてきたとのこと。スパイクとなる1本あたり全長10.5mmの鋲が打たれているが、「ダブル・アクション・スタッド」という機能により、温度によってこの鋲が出たり入ったりするので、普段は普通のスタッドレスタイヤとして使え、路面が凍るような寒い環境では鋲が飛び出してスパイクタイヤとなるのだ。目安として、鋲が飛び出るのがマイナス5度、鋲が格納されるのがプラス5度付近なんだそう。

 この温度によってスパイク機能がON/OFFになるのは、ノキアンが開発した厚さ約2.5mm程度の「反応性ベースコンパウンド」がキーを握っているそうだが、企業秘密とのこと。タイヤは走っていると、表面も内部も熱くなるので、どうコントロールしているのか不思議だ。なお、鋲はタイヤ1本あたり220本打たれている。

 それでいて、従来のタイヤより、路面へのダメージも30%以上低減するという、信じられないテクノロジーを投入しているとのこと。また、ロードノイズを1デシベル相当低減したほか、従来のスタッドレスタイヤと比較して、氷上グリップは最大10%、ウェットグリップは最大5%向上させているそうで、タイヤそのものもちゃんと進化しているようだ。

 全124サイズ展開予定で、2026年秋から北欧やアメリカと、スパイクタイヤがOKの地域で販売されるとのこと。なのでここまで説明しておいてなんだが、日本では買うことができない……。余談だが、スパイクタイヤが禁止になってからは、しばらくの間、日本では温度で硬さが変わるゴムをベースにした鋲が売られていたそうで、それでなんちゃってスパイクタイヤとしていたとかなんとか。

 こちらはシンクロウェザーのようにオールシーズンタイヤではなくウインタータイヤなので、ちょっとキャラクターは異なるが、世の中には面白いタイヤがあるものだ。


この記事の画像ギャラリー

WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

編集者

愛車
ホンダ・シビックタイプR(EK9)/スズキ・ジムニー(JA11)
趣味
写真/ドライブ/サーキット走行/クルマ弄り/スノーボード/ダーツ/自転車/その他多数
好きな有名人
大泉 洋/織田裕二/篠原みなみ

新着情報