「青いクルマは事故率が高い」「ガソリンは朝夕に入れたほうがお得」 クルマがらみの都市伝説の真偽を探ってみた (2/2ページ)

都市伝説はあながち間違ってるともいいきれない

物理法則と人間の認知能力

 4つ目は「ガソリンは寒いほう(朝イチ or 深夜)が得」なのか。理屈として液体は温度が低いほど体積が小さく密度が高くなるため、同じ体積1リットルでも、冷えたガソリンのほうがエネルギー量(質量)が多い。ガソリンの体膨張率はおおむね1℃あたり0.135%とされ、これは「温度が1℃上がるごとに体積が約0.135%増える」ことを意味する。気温差10℃の場合、原理的には約1.35%分体積が変化しうることになり、試算では50リットル給油で0.6リットル程度の差になる可能性がある。

 ただし、多くの給油所は地下タンクを用いるため燃料温度は外気ほど大きく変化するものでもなく、ユーザーが体感できるほどの差が出るかどうかは疑問と言えよう。

 最後に「青いクルマは事故率が高い」はどうか。これは単なるオカルトではなく、色彩心理学と統計データに裏打ちされた研究結果がある。あくまでタクシーを対象とした研究ではあるが、米国科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』に掲載されたシンガポールで行われた大規模な調査によると、同じタクシー会社が運用する青い車両と黄色い車両の事故率を比較したところ、黄色いタクシーは青いタクシーに比べて、1000台あたりの月間事故件数が約6件少なかった(事故率が約9%低かった)という。

 この差を生んだ最大の要因は「視認性」だ。黄色は昼夜を問わず目立ちやすい「進出色」であるのに対し、青はアスファルトや夜の闇、あるいは日中の空の色に溶け込みやすい「後退色」である。人間の目には、黄色は実際より飛び出て大きく見える。また、青い物体では実際よりも遠くにあるように、あるいは小さく認識する傾向がある。そのため、交差点での右直事故などで、対向車が「まだ遠くにいる(または存在に気づかない)」と誤認されやすいのだ。

 もちろん青いクルマに乗れば必ず事故に遭うわけではない。しかし、愛車が青や濃色系であるならば、「自車は周囲から見落とされやすい」というリスクを自覚し、早めのヘッドライト点灯や慎重な運転を心がけることが、都市伝説を現実にしないための最大の防御策となる。

都市伝説を「伝説」にしない

 以上のことを通して見えてくるのは、都市伝説はあながち「伝説」として切り捨ててよいものでもなさそうだ。クルマにとっての敵は、勢い、頻度、雑な扱いである。車止めは目安として使い、最後は丁寧に止めるクセをつける。タイヤや足まわりに余計なストレスをかけない。据え切りやシフト操作のように「狭い場所でやりがち」な動作ほど、急がず完全停止と微速を使い分ける。これだけでクルマにも同乗者にも優しい運転になるのだ。


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