自動車メーカーのオーナーが家族に捧げたクルマ……ってロマンの塊! 家族の「名前」が付けられたクルマ3選 (2/2ページ)

車名が歴史や感情を映し出す

オペル・アダム/カール

 オペルは創業者の名前、アダム・オペルから名付けられた社名ですが、じつは自動車を作り始める前に没しています(1895)それゆえだからか、2012年にようやくアダムの名を冠したモデルが発表され、続く2015年にはアダムの長男と同じくカールと名付けたハッチバックモデルをリリース。

 となると、5人の息子に恵まれたアダムですから、続く車名にはヴィルヘルム(次男)ハインリッヒ(3男)フリードリッヒ(4男:愛称はフリッツ)そして末っ子のルートヴィッヒと名付けてもよさそうなもの。不思議に思い、ドイツ人の知り合いに尋ねてみたところ、いずれの名前も「古臭いから車名にしても売れなさそう」とのこと。

 つまり、日本でいえば与作、庄左エ門、藤兵衛みたいなニュアンスだそうで、とても若いユーザーには受け入れがたいネーミングということ。ちなみに、アダムとカールはいまでも名付けられるとのことですが「ありふれた名前」とのこと。人名にも流行り廃り、マーケティングが切り離せないということでしょう。

ディーノ206/246GT

 エンツォ・フェラーリが早逝した息子、アルフレード・フェラーリを偲んで名付けたことはあまりにも有名なエピソード。ですが、アルフレードの愛称(本来はアルフレディーノで、イタリア語のニュアンスで「アルフレードちゃん」的なもの)となったディーノは、最初からクルマの名前となったわけではありません。

 アルフレードはエンジニアの道を進み、父のフェラーリ入社後はエンジンの開発に腕を振るっていました。病に苦しみながらも図面を描いたのがF2レース用の2リッターV6エンジン。チーフエンジニアだったヴィットリオ・ヤーノが仕上げを担ったとされていますが、アルフレードの意欲作だったことをのちの史家が記しています。

 このエンジンをミッドシップしたレーシングカー、206Sをル・マンにエントリーさせる際、「ディーノエンジンを積んだマシンだから、車名もディーノにしたらどうか」と誰かがいい出したことがきっかけとなり、市販車の206や246GTにもディーノと名付けられました。

 しかしながら、ブランド統一という理由から後継モデルにあたる308GT4以降はディーノが使われなくなりました。エンツォがディーノの直筆サインを模したエンブレムを見つづけるのが辛かった、というのもひとつの理由かもしれません。


この記事の画像ギャラリー

石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

新着情報