産地で値段が変わる……ってまるで高級食材! R34GT-RやS2000の産地が注目されるワケ (2/2ページ)

日本のスーパースポーツのDNAを受け継ぐ工場から生まれた名車

 さて、クルマの産地の話をするにあたって、もう1台欠かせないモデルが存在する。それがホンダにおける唯一無二のFRスポーツ、S2000だ。このS2000のなかでも、1999年4月から2004年3月までの期間で生産されたAP1と呼ばれる前期の2リッターモデルは、栃木県の高根沢工場で作られていた。この高根沢製もまた、先のR34GT-Rと同様に、ファンから信仰されているモデルとなっている。

 しかし、なぜ高根沢工場製が支持されているのか。それはこの場所がホンダにとって特別な場所だったからにほかならない。ここ高根沢工場は、ホンダが世界初のオールアルミボディを取り入れた初代NSXを生産するために作ったファクトリーなのだ。

 つまり、日本最高峰のスポーツカーと同じ工場、ラインで作られるスペシャルモデルが、このS2000の前期モデルであったわけだ。S2000は一般的な量産車とは別次元に手間がかかったクルマで、NSXを担当する高根沢の職人たちが、S2000もそれはもう丹精込めて仕上げていたそうだ。

 NSXを担当するホンダの職人が集結していたといっても過言ではない場所で作られたこれらのS2000は、高根沢製として、いまでも中古車市場で高い人気を誇っている。そのほかにも、アルミボディをもつ初代インサイトもここ高根沢工場からデリバリーされていた。

 しかし2004年4月、高根沢工場閉鎖によりS2000は鈴鹿工場での生産に切り替えられている。もちろん品質はまったくの同水準……であるはずだが、一部ファンからは、「鈴鹿より高根沢のほうが職人の練度が高いから、仕上げが綺麗だ!」なんて都市伝説のような話も出ており、同じAP1という前期モデルのS2000でも、高根沢製の人気がより高くなっている。事実、中古車サイトでも「高根沢工場製!」なんて謳い文句がついて高値で売られているケースも見かける。

 ちなみに、高根沢製の最終生産モデルである135型と呼ばれるS2000は1カ月程度しか販売されておらず、ファンの計算では200台前後しか生産されていないと言われている。よってこのモデルは、S2000のなかでも中古車価格がほかのモデルよりさらに価格が高い傾向にある。

 とはいえ135型は玉数の関係から狙いにくいので、高根沢製を狙うのであれば、型式はAP1-100、110、120、130が該当するのでこれらでもOK。ただし、「NSXと同じ工場のモデルがいい!」というこだわりがなければ、もちろん無視しても問題ない。2.2リッターエンジンのAP2は強制的に鈴鹿製になる。

 いまでも高根沢工場のあったエリアとその近隣には、ホンダ関連の企業が残っているのはもちろん、S2000もほかの地域に比べて比較的多く走っているとのことで、ある意味聖地的な場所としてファンに愛されているとのこと。

 いま乗っている愛車がどこの工場で作られているか、いちいち気にする人は少ないかもしれないが、思い入れがあるクルマであるなら、作られた工場のそばまで里帰りドライブを楽しんでみてもいいかもしれない。クルマであっても、産地が重要視されることがあるのだ。


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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