かつてF1エンジン搭載のセダンによるレース構想があった! 幻の「アルファロメオ164プロカー」の狂気すぎる全貌 (2/2ページ)

圧倒的性能を誇りながら実戦の機会はなかった

 とはいえ、3社が結集したとなれば仕上がりが半端ないことはお察しのとおり。アルファロメオ製3.5リッターV10エンジンはリジェF1に提供されたユニットそのもので、620馬力/1万3300rpm、340Nm/9500rpmを発揮。これをF1と同じく縦置きミッドシップするのですが、シャシーはブラバム製のアルミハニカムとカーボンコンポジット。

 市販車と形状を同じくしたボディもフロントとリヤがずっぽり外せるクラムシェルながら、寸法はトレッド、ホイールベースともに市販164とほぼ同じというのもなにげにすごいポイントでしょう。無論、ダミーボディもカーボンで作られた結果、車重はレギュレーションに合った750kgとなり、ウエイトパワーレシオ0.8kg/psとこれまたF1並みの数値を誇っているのです。

 実際のパフォーマンスも素晴らしく、ぱっと見は車高短の164ながら最高速は340km/h、発進加速は0-400m:9.7秒、0-1000m:17.5秒。0-100km/h加速:2.1秒とほぼF1並み! ここに、バンク角72度のクワトロバルボーレが唸りをあげるのですから、そりゃもう痛快そのものかと。

 ちなみに、できあがったころにはプロカー構想がぽしゃっており、不憫に思ったFISAが1988年のイタリアGPでデモ走行の機会を提供。名手リカルド・パトレーゼによってモンツァを全開走行したのですが、ストレートスピードは330km/h、その際のエキゾーストノートはF1に勝るとも劣らない快音だったとか。

 行き場を失いながらも164プロカーはひとつの記念碑としてアルファロメオ博物館に鎮座しつつ、しっかりと動態保存されているとのこと。他メーカーの及び腰を無視して、プロカーづくりに突っ走ったアルファロメオは、クルマ好きの期待を決して裏切らないメーカーに違いありません。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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