この記事をまとめると
■気温7℃以下では夏タイヤはグリップ激減の危険性がある
■タイヤは高温になりすぎても性能がダウンする
■季節に合わないタイヤでの走行は事故リスクを高める
路面温度とタイヤの危険な関係
お風呂やエアコンの設定温度で、家族で揉めたことはないだろうか。たとえば大人は熱いお湯が好きだけど、子どもはぬるいお湯が好き。男性陣は夏のエアコンの設置温度は低めを好むが、女性陣は逆とか……。
工業製品のタイヤも温度には敏感で、得意な温度と不得意な温度がある。
タイヤの主成分はゴム。ゴムは冷たいと固くなるため、冷たいときはグリップが低く、温まると柔らかくなって、グリップ力がアップする。市販のハイグリップタイヤでいえば、ゴムの温度が60~80℃ぐらいのときにもっとも高いパフォーマンスを発揮するといわれている。
走行中のタイヤ画像はこちら
前述のとおり、低い温度は比較的苦手で、一般的に夏用のタイヤ、サマータイヤは外気温が7度以下になるとゴムが硬化し、グリップ力が極端に悪くなる。そのため、タイヤメーカーでは、外気温7度を、夏用タイヤとスタッドレスタイヤの交換目安として推奨している。
反対に暑すぎるのもタイヤには好ましくない。ゴムの沸点は120℃なので、あまり高温になるとタイヤが溶けてしまう!
もちろんタイヤには天然ゴムだけでなく、合成ゴム、シリカ、カーボン等々のさまざまな添加剤を配合してあるので、ちょっとやそっとの高温で溶けたり、ブローすることは考えられないが、レースなどでは路面温度が高すぎたり、タイヤへの負担が大きく、ゴムが過剰発熱してくると、タイヤの表面や内部が水ぶくれのように膨れ、いわゆるブリスターが発生する。ブリスターは極端だとしても、タイヤの温度が一定以上高温になると、ゴムの組成が変化してグリップ力が落ちてきてしまうことは避けられない。
ブリスターが発生したレーシングタイヤ画像はこちら
また、高温の影響でゴムが柔らかくなりすぎると、ブロック剛性、ケース剛性などが低下し、大きなパフォーマンスダウンを生じさせる。
夏になってもスタッドレスタイヤを履き続けると、そのことは実感しやすい。夏場でも空気圧の管理などが適正であれば、スタッドレスタイヤを履き続けても、バーストのような大きなトラブルが起きることはないが、やはり冬用の柔らかいゴムを使っているので、夏場はゴムの表面がグニャグニャと頼りなく、操縦性が悪くなったり、タイヤが柔らかすぎるため、地面との摩擦力が低下して、制動距離が長くなるといった問題も出てくる。
装着されたスタッドレスタイヤ画像はこちら
そして、柔らかいということは、タイヤの摩耗も進むということ。夏場にスタッドレスタイヤを履き続けると、グリップは悪い、操縦性は悪い、溝が早く擦り減って寿命が短くなるといいことがない。
一方、路面が冷えている状態でタイヤを鳴かせるような運転をしていると、タイヤ表面がザラザラにささくれた状態(グレーニング)になったり、ブロックが飛んでしまったりすることもある。
というわけで、気温や路面温度は高すぎても低すぎてもタイヤにはマイナスしかない。最低気温が7度を越えたら夏タイヤ、7度を下まわったら冬用タイヤを装着し、空気圧を月に一度は点検・調整。暑さも寒さもゴムの寿命を縮めるファクターなので、長くても夏冬4シーズン、製造されて4年以上経過していたら、交換時期だと思って、新品タイヤを用意するようにしよう。