スマホひとつで減衰力調整が自由自在! シーンに合わせて自動減衰調整も可能な超ハイテク足「アクトライド」が凄い!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■KYBが減衰力調整式ショックアブソーバー「アクトライド」を発表した

■「アクトライド」は加減速や操舵や速度に応じた減衰力をスマホで調整できる

■「アクトライド」を装着したトヨタ・ハイエースに試乗してその実力を確かめた

純正クオリティの減衰力調整と制御を大衆化

 日本におけるサスペンション(ショックアブソーバー)の最大手といえるKYBことカヤバが革新的なチューニングサスペンションを開発したことはご存じだろうか。それこそが2026年1月に発表・ローンチされた「ActRide(アクトライド)」だ。

 減衰力可変式ショックアブソーバーと、クルマの挙動を検知するセンサーを含めた減衰力調整コントローラー、そして専用アプリをインストールしたスマートフォンによって構成されるという新時代のサスペンションシステムである。

 結論からいえば、加減速や操舵、そして速度に応じて減衰力を最適に調整できるという、ショックアブソーバーとしては、理想的といえる機能と性能を実現している。

 その秘密について、ハードウェアとソフトウェアの両面から特徴を紹介しつつ、最後には実車によるノーマルとの乗り比べの印象についてお伝えしたい。

 ハードウェアの特徴は、三重管の複筒式ショックアブソーバーにソレノイドバルブを組み合わせた減衰力調整機構をもつこと。そして、コントロールユニットに6軸IMU(3軸加速度と3軸角速度を計測できるセンサー)を搭載していることだ。

 それぞれ深掘りしてみよう。

 通常の複筒式ショックアブソーバーは、ロッドの先についたピストンがオイル内を往復する内側の管(内筒)と内筒から押し出されたオイルを受け止める外側の管(外筒)で構成されている。減衰力は、ピストンバルブや内筒と外筒の間にあるベースバルブでのオイルの抵抗によって発生するという仕組みだ。

 アクトライドは、内筒を覆うように、もうひとつの筒を設けた三重管構造となっているのが特徴。そして、この“もうひとつの管”にソレノイドバルブを設置している。そして、ソレノイドバルブにより、減衰力を生み出すオイルの圧力を可変させるようになっている。

 多くの減衰力調整式ショックアブソーバーが、ピストンバルブやベースバルブを通過するバイパス路の流量を変えることで減衰力を可変させているのとは、まったく異なる方法により減衰力を変えることができるのだ。また、こうしたバイパス流量を変えるタイプを電子制御タイプにするときは、ロッド先端などにステッピングモーターを備えることが多い。ステッピングモーターの特性から、どうしても段階的な調整となってしまう。

 一方で、アクトライドが採用しているソレノイドバルブによる減衰力調整は、電流値の変化に応じてバルブの開度をリニアに動かせる上に、調整の対象となるのはサスペンションオイルの圧力である。理論上は無段階かつシームレスな減衰力制御が可能となっている。さらにいえば、調整時のタイムラグも非常に少ない。

 こうしたソレノイドバルブを利用した減衰力調整を持つ、三重管タイプのショックアブソーバーは、自動車メーカーが純正採用していることが多い。そしてカヤバは、多くの自動車メーカーへの納入実績がある。アクトライドは、まさにメーカークオリティのアフターパーツといえる。

 さらに注目すべきは、コントロールユニットに6軸IMUが内蔵されていることだ。前述したように6軸IMUとは3軸加速度と3軸角速度を計測することで、車両の挙動をかなり正確に把握できる慣性センサーだ。ADAS(自動運転)テクノロジーにおいては欠かせないセンサーとなっているし、傾きの変化(角速度)を検知できる特性により、スーパースポーツ系バイクでも車両制御に活用することが当たり前になっている。

 ソレノイドバルブによるリニアで無段階の減衰力調整機構、6軸IMUによる車両挙動の検知は、まさに電子制御サスペンションの最先端といえるハードウェアの構成要素といえる。

 さらに、アクトライドには最先端のハードウェアを活かす専用アプリが用意されている。コントロールユニットとBluetoothで接続したスマートフォンの画面で、前後のベース減衰力をそれぞれ100段階で調整することができ、即座に反映させることができる。

 さらに注目なのは、乗り心地制御の「ライドコントロール」、操縦性制御の「ハンドリングコントロール」、車速に連携した「スピードアダプト」という3つのパラメータについては0~100段階で制御の強弱を設定できるということだ(この場合、ベース減衰力は0~50の範囲での調整となる)。

 ここで効いてくるのが6軸IMUによる車両挙動の検知だ。ピッチ、ロール、ヨーといった角速度から、ハンドル操作やアクセル・ブレーキ操作を推定して、ドライバーの運転操作に応じた減衰力へ変化させることができる。

 たとえば、「ハンドリングコントロール」を強めに設定しておけば、アクセルを踏み込んだときにリヤの減衰力を高めてピッチングを抑えたり、コーナーではロールを抑えるべく減衰力を高めたりできる。また、「ライドコントロール」をコンフォート方向にセッティングしておけば、路面からの入力が大きいと6軸IMUが計測したときに減衰力を下げて、乗り心地を向上させるといったスカイフック制御も可能となっている。スマートフォンのGPSセンサーを利用した「スピードアダプト」を強めに設定しておくと、高速道路で速度が上がったとき、スピードに応じて減衰力を高めて、走行安定性を高めることも可能だ。

 いずれにしても、ベースとしての減衰力を100ステップで調整しつつ、車両挙動に合わせてリアルタイムで減衰力を自動調整できるのがアクトライドの特徴。その調整方向についても、3つのパラメータそれぞれ100段階で調整できるのだから、自分好みの自動可変サスペンションをセッティングできるといえる。

 まさに、新時代の理想のサスペンションといえる。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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