ガラス時代にはあり得なかった劣化! ヘッドライトの黄ばみはスタイリッシュさを追求した代償だった (2/2ページ)

多彩なデザインを実現するもメンテナンスが必要になった

 ところが、この樹脂製ヘッドライトは、経年変化によってレンズの曇り(黄ばみ)が発生するという、ガラスレンズでは見られなかった弱点を露呈することになった。もちろん、その変化は3〜4年という短いスパンではなく、10年近い期間となる場合もあるが、経時変化によって確実に劣化することが明らかになったわけである。

 太陽光線に含まれる紫外線が主な劣化原因で、これを避けるため、新車時にはレンズ表面に劣化を防ぐコーティングが施されているが、これも経年変化で落ちてしまい、徐々にレンズは曇って(濁って)しまうことになる。曇りの発生したレンズは、レンズ表面を研磨することで復活させることができ、この作業を行う専門店もいくつか存在している。

 研磨と再コーティングにより、しばらくの間はレンズの透明度を保つことはできるのだが、経年変化で再び曇って(濁って)しまうことになる。実際に作業したことはないが、樹脂レンズのコーティング剤が市販され、新車時から定期的にコーティング作業を行い、曇りが発生、ひどくなった段階で研磨作業によりレンズ面を復活させたら、半年に1度程度の間隔でコーティングを行う予防策で、透明度を保つことができる。

 ユーザー心理としては、経年変化の影響を受けないガラスでレンズを作ることはできないのだろうか、と考えたくなる。実際のところ、ガラス製レンズの製造は物理的に可能だが、実際問題としては非現実的な例となってしまう。

 樹脂製レンズの大きな特徴として成形の自由度を上げたが、ガラス製でも異形レンズを作れないわけではない。樹脂製レンズは、原料を加熱して金型に流し込み、それを冷却する射出成形が大量生産に向き一般的な手法となっている。

 ガラスレンズの生産でも、射出成形の手法が使えれば問題ないのだが、実際には、樹脂の溶融温度が200〜350℃であることに対し、ガラスの場合は1200〜1400℃と高く、流動値も低いこと、またガラスは性質的に脆く、離型もむずかしいため、複雑な形状の成形に射出成形は向かないことになる。もちろん、細心の作業によるワンオフ的な生産であればできないこともないが、現実的には無理だという結論に落ち着くことになる。

 スタイリッシュなボディデザインを可能にした樹脂製のヘッドライトレンズだが、長期間その性能(透明度)を維持するには、研磨・コーティングというメンテナンス作業が必要であることを覚えておきたい。


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