メーカー自らBRZをAWD+ターボに魔改造……しかも既存のAWDを載せたワケじゃない! 勝利のために作り上げた「ボクサーラリー・スペックZ」のもの凄い中身 (2/2ページ)

勝つためにはBRZしかなかった!

 もちろんスタイルも見どころだ。とくに全幅はノーマルの1775mmから45mmワイドな1820mmへと広げられ、前後のワイドフェンダーがド迫力である。

「弊社のデザインチームも入って、ひと目でラリーカーっぽく感じてもらえるように仕上げています。ホイールハウスの大きさは、たしかにタイヤが当たらないようにという理由もあるんですけど、必要以上に削っています。見た目重視で(笑)」(山田さん)

 新井選手から「何いってるんですかね(笑)」とツッコまれていたが、今回のSUBARU Boxer Rally spec.Zには、カッコいいマシンでSUBARUファンに喜んでもらいたいという、開発陣の思いも込められている。

 さて、そんなニューマシンのハンドルを握る新井敏弘選手は、すでに群馬サイクルスポーツセンターでテスト走行を済ませている。

「これまで乗っていたWRX S4がSUVだとしたら、BRZは普通の乗用車というくらい動きが違います。路面にベタッと張り付いている感じで、ロールもほとんどしません。スプリングレートもすごくやわらかくなっています。これでラリー2車両と同じ土俵で勝負ができます」(新井選手)

 ただ、車内のスペースに余裕が少ないクーペスタイル、しかもエンジンは後方にレイアウトされているため、車内環境は過酷になりそうだ。さらにターボは助手席の足もと付近に配置されているそうで、2026年からコンビを組むコ・ドラの安藤裕一選手も、本番に向けてトレーニングを行っている。

「私はまだ実車には乗れていないのですが、S4とはまったく違う動きをするという話で、『ペースノート読めないかもしれないよ』といわれて(笑)。期待半分、不安半分みたいな状況ですけれども、カッコよくて速いクルマに乗れるのはアスリートとしてはワクワクします。暑さ対策としては、ソールが溶けても大丈夫なように、厚底のシューズを予備で買いました(笑)」(安藤選手)

 さて発表会の終盤、WRC(世界ラリー選手権)への復帰に関する質問も飛んだが、山田さんの回答は「ご期待されているのは身にしみてわかっておりますが、スバルのWRC参戦は、いまは検討していません」という現実的なもの。そんななか新井選手は「SUBARUといえばラリーというイメージがあるし、昔の555カラーのWRXを思い浮かべる人も多いと思います。次の世代のためにも、いつかは出てほしい」と期待を寄せた。

 GRヤリスRally2やシュコダ・ファビアといった強力なライバルたちに対し、どのような走りを見せるのか。まずはデビュー戦となる全日本ラリー選手権第三戦「YUHO Rally 飛鳥 supported by トヨタユナイテッド奈良」(5/8〜10)に注目だ。

「同じレベルで走っていたライバルたちにラリー2のマシンで先行され、ここ2~3年は本当に悔しい思いをしてきましたが、このBRZで、ぜひまたライバルたちをやっつけたい。私もこれで“やる気スイッチ”が入りましたので、頑張りたいと思います」(新井選手)

 まずは完走が目標だというが、SUBARU Boxer Rally spec.Zが全日本ラリーを席巻し、SUBARUがラリーの王者として輝く日が、再び見られるかもしれない。


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