伝説のF1ドライバー「アルベルト・アスカリ」が立ち上げた「アスカリカーズ」の復活希望! 名前に恥じぬ名車たちを振り返る【21世紀スーパーカーFILE #027】 (2/2ページ)

レースでも活躍したアスカリKZ1-R

 KZ1のボディデザインは、スムースな曲線で構成されたエレガントで、また優秀なエアロダイナミクスを誇るものだった。ミッドに搭載されたエンジンは、最高出力で507馬力、最大トルクでは500Nmを発揮する4.9リッターのV型8気筒で、これはBMW製のS62型エンジンをベースに潤滑方式をドライサンプ化するなど、アスカリ独自のチューニングが施されたものである。組み合わせられるミッションはCIMA製の6速MT。駆動方式はもちろんRWDだ。

 エコッセから受け継がれた軽量設計もまた、KZ1にとってはライバルに対しての大きなアドバンテージだった。車重は1275kgと発表され、結果としてKZ1は0-96km/h加速を3.7秒で、また最高速では323km/hを達成することになった。前後のサスペンションは、もちろんミッドシップのスーパーカーらしいマン・マシンの一体感を演出する、きわめて魅力的なセッティングが施されたもの。ブレーキにはAPレーシング製のレーシングブレーキも採用されていた。

 KZ1にはレーシングバージョンも存在する。「KZ1-R」と呼ばれるモデルがそれで、FIAのGT3ヨーロピアンチャンピオンシップやアメリカのユナイテットスポーツカーチャンピオンシップなどにGT3車両としてエントリーした記録が残る。

 大型の固定式リヤウイングやコンパクトなフロントスポイラー、それに前後のオーバーフェンダーなどで外観を武装し、さらにBMW製S62型エンジンも520馬力にまでチューニングしたKZ1-R。これもまたアスカリ、そしてKZ1のヒストリーを語るには必要にして不可欠なマシンのひとつといえる。

 KZ1の生産は残念ながら2010年には中止されてしまうが、アスカリの名は現在でも南スペインのロンダ近郊にあるプライベートサーキット、「アスカリレースリゾート」として残っている。全長で5425mというこのサーキットは、自社のKZ1はもちろんのこと、スーパーカーを所有するカスタマーがそのパフォーマンスを楽しむことを目的にオープンされたもの。温暖な気候に恵まれたこのサーキットは、自動車メーカー各社のテストや、ニューモデルの試乗会などで使用されることも多い。

 はたしてアスカリから新たなスーパーカーが誕生する日は訪れるのだろうか。それを願うファンはきっと多いはずだ。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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