新たな労働力として期待される人型ロボット ヒョンデは重労働型ヒューマノイド、テスラは家庭用ヒューマノイド 今年のCESでは自動車メーカーのヒューマノイドが話題となった。アメリカのボストン・ダイナミック社が開発したアトラス(Atlas)は工場で働くヒューマノイド。身長190cm体重90kgで最大50kgのモノをもつことができる。2028年には年間三万台を量産する。この事業に飛びついたのが韓国最大の自動車メーカーのヒョンデ社だ。ボストンダイナミック社の事実上の社主となった。
ヒョンデのヒューマノイドのアトラス 画像はこちら
一方、EVメーカーで知られるテスラ社もオプティマス(Optimus)を開発するが、アトラスとは異なり、身長173cm体重57Kgと小柄だ。そのぶん、もてる重さは20kgと人間レベル。テスラは家庭でも使えるヒューマノイドを開発し、安く大量生産する計画だ。テスラの公式資料では2026年に100万台のヒューマノイドを生産するとのこと。
それぞれコンセプトが異なり、アトラスは4本指でオプティマスは5本指。ヒョンデ社のアトラスもテスラ社のオプティマスも頭脳はNVIDIA社のチップを使うが、ソフトウェアはアトラスがグーグルのDeepMind、テスラは自前のFSDだ。
テスラのヒューマノイドのオプティマス 画像はこちら
Morgan Stanleyが提示した「ヒューマノイドロボット市場は2050年に5兆ドル規模」という予測があるが、普及台数は約10億台。そのときの地球人口が100億規模とするなら、10人にひとりがロボットなのだ。人間は頭も身体も正常ではなくなり、ヒューマノイドに看護してもらうという社会がやってくる。これはかなりイヤな話だが。ここで問うべきは、この数字の裏にある産業構造の変化である。結論から言えば、ヒューマノイドは「製品」ではなく、「新しい労働力」なのである。
ヒューマノイドは自動運転車と技術的には近い ヒョンデやトヨタがロボットに注目するのは、かなりの部分の技術や部品は自動車産業に満ちあふれているからだ。半導体、センサー、アクチュエーター、電池、そしてソフトウェア。これらの要素技術の集合体として自動運転とヒューマノイドは成立する。すなわち、自動車のサプライチェーンに付加価値が生じるのだ。
ヒョンデのヒューマノイドのアトラス 画像はこちら
もちろん課題は多い。人間の手のような器用さは未だ再現できていない。安全性の担保も難しい。コストも高い。そして動力エネルギーの制約もある。それでも、この流れは止まらないだろう。日本は小型モーター、精密機械、制御技術といったヒューマノイドの「身体」の部分では圧倒的な強みをもつ。一方でAIやソフトウェアでは後れを取っているが、ここは中国以外の海外製を活かせばいいだろう。ここに日本の自動車産業の大きな付加価値がありそうだ。