この記事をまとめると
■日本の自動車メーカーは海外で高級ブランドも展開している
■レクサス以外の同カテゴリーに属する他メーカーは国内市場に参入していない
■海外勢力を迎え撃つためにもともとの国内市場規模が大きかったトヨタはレクサスを投入した
なぜレクサスは日本でも人気なのか
レクサスはトヨタが展開する上級車ブランドで、2026年には、LサイズセダンのESがフルモデルチェンジを行う。従来型のハイブリッドはすでに生産を終了しており、販売店は「新型ESはハイブリッドと電気自動車になり、正式発売は(2026年の)6月ごろだ。5月ごろには価格を明らかにして予約受注を開始する」という。
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ちなみにトヨタ以外のメーカーも、日産はインフィニティ、ホンダはアキュラという具合に、海外では上級ブランドを展開する。しかし国内で展開している国産メーカーの上級ブランドは、トヨタのレクサスだけだ。なぜか。
日産の関係者によると「日産も以前は、インフィニティの国内展開を検討した。しかし十分なメリットが得られないと判断して見送った」という。
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いい換えればトヨタには、レクサスを国内で展開すべき事情があった。
トヨタは北米でレクサスを1989年に開業したが、日本は2005年だ。日本の開業が北米に比べて16年も遅れた理由は、日本と北米では、レクサスの目的が本質的に異なるからだ。
レクサスを北米で開業した目的は、日本メーカーのトヨタが、北米の高級車市場とは親和性が低かったことにある。トヨタに限らず日本メーカーは北米において、1970年代前半のオイルショックによるガソリン価格の高騰で売れ行きを伸ばした。そのために日本車のイメージも「低燃費で安価で壊れにくいこと」にあり、高級車には合致しない。そこでトヨタはレクサス、日産はインフィニティ、ホンダはアキュラという具合に、メーカーとは別のブランドを創設して、北米で高級車のビジネスを開始した。
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つまり北米におけるレクサスは、トヨタが高級車市場を攻めるためのブランドだ。ところが日本のレクサスは逆で、日本の高級車市場を海外のプレミアムブランドから守る目的で開業した。1990年における国内メーカーにおける国内販売総数は778万台だったが、2000年には、好景気の終了に伴って597万台まで減っていた(2025年は457万台)。2000年の売れ行きは、1990年の77%に留まった。
しかし輸入乗用車の登録台数は、1990年は22万1706台だったが、2000年は26万7767台だ。国内市場は景気の悪化で減少したのに、輸入車は121%に増えた。そしてトヨタは2000年当時でも国内の大規模メーカーで、新車として販売される小型/普通車の43%を占めていた。
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そうなると、メルセデスベンツ、BMW、アウディなどのプレミアムな輸入車がさらに増えた場合、販売面でもっとも大きな打撃を被るのはトヨタだ。そこでトヨタは2005年に、日本国内の高級車市場を防衛するためにレクサスを開業した。
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過去を振り返ると、トヨタは1989年に、北米で販売されるレクサス LSをセルシオとして導入するなど、トヨタブランドの高級車を充実させた。それでも国内市場の売れ行きが減少するなかで輸入車が増えたから、さらなる対抗手段として、メルセデスベンツ、BMW、アウディと張り合えるレクサスの国内導入に踏み切ったわけだ。
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その一方で日産の小型/普通車の登録台数は、トヨタの販売台数と比較して41%に留まり、ホンダは26%とさらに少ない。高級車市場を輸入車に奪われる危機感は、トヨタに比べれば大幅に弱い。日産がインフィニティを、ホンダがアキュラを国内へ導入するなら、同じコストを費やして各種の販売促進を行うほうが得策と判断された。
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以上のようにレクサスを国内へ導入して成功できたのは、トヨタブランドが国内の高級車市場で強固な商品力と販売力を備えていたからだ。だからこそ、輸入プレミアムブランドを迎え撃つ必要があり、国内でレクサスを開業した。