コカインでラリった工員が作った2階建て「ルノー21」が出てくるメチャクチャな映画! なんとこの劇中車「ルノー」が作ったってマジ!?

この記事をまとめると

■コカインで工場全体がハイになるという仏コメディ映画にルノー21が登場

■ハイになった工員たちが二階建てボディのルノー21を作るという衝撃展開

■ルノー公式製作の珍車として長きに渡ってコレクションされていた

二階建てスタイルのルノー21っていったい何者?

 見方によってはとてつもなく面白い作品も、いまとなっては厳しいコンプライアンスによってお蔵入りとなるケースが少なくありません。1987年といえば、世界的にもゆるやかなルールだったかと思いますが、それにしてもフランス映画「レヴィとゴリアテ」はきわどい一本。なにしろ、ダイヤの粉末とコカインを取り違えたルノーの工員が「ハイ」になりつつ、クルマを組み立ててしまうというトンデモムービー。クルマ好きにとって抱腹絶倒なのか、耐え難いのか、ありえなさすぎるルノー21のご紹介です。

「レヴィとゴリアテ(Lévy et Goliath)」は、フランスの国民的喜劇映画監督ジェラール・ウーリーによる作品で、当時としては大ヒットを記録したのだとか。ストーリーはハチャメチャなコメディで、ダイヤモンドの粉末と間違えてコカインがルノーの工場にもち込まれてしまい、それを作業員たちが(ダイヤモンド粉末だと思い込んで)製造ラインに投入してしまいます。その結果、工場全体が「ハイ」な状態になり、めちゃくちゃな設計でルノー21が組み立てられてしまうというもの。

 ストーリーも奇妙なら、出来上がったルノー21もまた珍妙なもの。いうなれば二階建てのような車体で、一般的なボディの上にもうひとつキャビンがあるようなスタイルとなっています。そもそも一階部分のドアが何枚も連結されているところからしてぶっ飛んでいるとしか言いようがありません。

 前衛芸術を好むフランスらしさといえなくもないでしょうが、その階上に未完成のキャビンを載せているとなると、まさしくハイでなければ思いつかないアイディア。筆者は未経験ではありますが、同じくハイになっていたら大爆笑かもしれません。

 さらに、このヘンテコなルノー21は運転方法も不思議なもの。2階席に座る人が非常に長いステアリングコラムでハンドル操作を行い、1階席に座る別の人がペダル操作を担当するという、あたかも二人羽織コントのよう。

 無論、劇中ではふたりの息が合うわけもなく、ドタバタなドライブシーンが繰り広げられ、フランス人にドカンと笑いが生まれるというシナリオです。ミニの屋根の上で運転するミスター・ビーンというのもいましたが、ちょっと比べ物にならないレベルの笑いではないでしょうか。

 こうしたプロップ車はハリウッドでは専門業者が作るものですが、「レヴィとゴリアテ」ではどうやらルノー自らが製作したようです。同社のクルブヴォワ工場の貨物エレベーターに収まるギリギリの大きさで設計されたとのことですが、走行可能かどうかは公表されていません。

 ちなみに、ルノーは21のほかにも車両提供しているらしく、劇中には何台か登場するものの、いずれも扱いが雑(笑)。スポンサーへの忖度という意識がまったく感じられません。もっとも、そんな気もちがあればあんな二階建て21なんて代物も生まれなかったことでしょう。

 驚くべきは、このルノー21は長年ルノーのコレクションとして保管されていたこと。ラリった工員が作った滅茶苦茶マシンという設定を、まず国内のメーカーなら引き受けないはずですが、さすが芸術を愛するお国柄だけのことはあります。

 その後、オークションに出品されると、約27万円という高いのか安いのかよくわからない金額で落札されています。オブジェとしては微妙ですし、ましてドライブしようという気にもならないはずですから、失礼ながら落札者の気が知れません。さしずめ、映画と同じくハイになってついポチってしまった、なんてオチではないでしょうか(笑)。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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