4143億円の営業赤字の実態はEV戦略の損切り! 2026年3月期決算の中身が衝撃的だったホンダはハイブリッドに回帰する (2/2ページ)

ホンダの未来を象徴する2台のハイブリッドのプロトタイプ

 この戦略を象徴する存在として、会場には2台のプロトタイプが展示された。これらは今後2年以内の発売を予定しているという。

 ホンダ・ハイブリッド・セダン プロトタイプは、流麗なシルエットを持つセダンモデル。現行アコードよりもさらに洗練された、スポーティかつプレミアムな空気をまとう。次世代e:HEVを搭載し、セダンならではの低重心な走りと圧倒的な燃費性能を両立。三部社長が語る「ホンダならではの走りの進化」をもっとも体現する一台となりそうだ。

 アキュラ・ハイブリッド・SUV プロトタイプは、北米を中心に展開する高級ブランド「アキュラ」の次世代SUV。力強いプロポーションと洗練されたディテールが特徴の大型SUVで、牽引性能や力強い走行性能が求められる北米市場において、環境性能を犠牲にしない新たなラグジュアリーSUVの形を提示している。

 これら2台には、軽量化された次世代プラットフォームや、電動4WDユニットが組み合わされる見込みで、まさに「ハイブリッドのホンダ」を再定義するモデルとなるといえるだろう。

 地域別戦略も興味深い。インド市場では、圧倒的なシェアを誇る「二輪事業」のネットワークをフル活用し、インドの二輪車ユーザーが四輪車へステップアップする需要を確実に取り込むことを狙う。そして、現地のニーズに特化した「インド・ベスト」な戦略車を2028年から投入する。

 一方で、苦戦が続く中国市場については、現地パートナーのプラットフォームを活用した新型車を投入するなど、柔軟な姿勢をとる。三部社長は「中国の進化スピードを取り込む」とし、現地リソースを戦略的に活用することでコスト競争力を高める方針だ。

 ホンダはこれまで掲げていた「EV一本足打法」への懸念を払拭し、稼ぎ頭であるハイブリッドを再び強化することで次世代へとつなぐ構えだ。そして、将来のEV需要の再拡大にも備えて開発の手は緩めない。今回の決算で見せた巨額赤字は、ホンダが2030年代以降に生き残るために避けて通れない道だったと言えるだろう。

 三部社長は最後に、「2029年3月期には営業利益1.4兆円以上の達成を目指す」と宣言した。理想(EV100%)を追いながらも、現実(ハイブリッド需要)を冷徹に見極めたホンダ。それはホンダの「第2の創業」とも言える改革の始まりなのかもしれない。


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