この記事をまとめると
■日本にはお礼の意味として「サンキューハザード」という作法がある
■トラックドライバーなどが使っていた文化が広まったとされる
■右ウインカーやパッシングなどそのほかにも灯火類を使った合図が存在する
サンキューハザードの起源は?
日本の道路を走っていると、合流などで道を譲ってもらったクルマが前に入った直後にハザードランプを2、3回だけ点滅させる場面にたびたび出くわす。いわゆる「サンキューハザード」というやつだ。最近では当たり前になっているサンキューハザードだが、これは教習所の教本に載っているような正式な合図ではないし、道路交通法でありがとうの意味が定められているわけでもない。
それでも多くのドライバーは、あの短い点滅を「入れてくれてありがとう」と受け取るわけで、まさに日本の道路文化が生んだ、無言の会釈のような存在といえる。そこで、ほんわかと温かく日本人の性格を表すようなサンキューハザードについて調べてみたので紹介していこう。
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ハザードランプの本来の名前は「非常点滅表示灯」。文字どおり、故障や緊急停止など、周囲に危険を知らせるための装備だ。ところが日本では、この「非常」の灯りが、いつの間にか感謝や注意喚起のサインとしても使われるようになった。サンキューハザードの起源については諸説あるが、よく語られるのは、もともと長距離トラックのドライバー同士の合図として広がったという説である。
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また、ドイツのトラック運転手の習慣が紹介され、日本では1979年ごろに業界紙で取り上げられたことがきっかけという話や、1980年代から1990年代初頭にかけて日本のトラック業界から一般ドライバーへ広まったという話もあるため、正確な起源は定かではない。発祥の細部には曖昧さが残るが、職業ドライバーの世界で育った合図が、乗用車の世界へ降りてきたという流れは間違いないようだ。
よくよく考えてみれば、トラックドライバーにとって「譲る」「譲られる」場面はよくあること。長い車体、重い荷物、限られた視界での合流や追い越しでは、周囲の協力が欠かせないからだ。しかし、このときにクラクションを鳴らせば威圧的に聞こえることがある。かわりに手を上げても夜間や大型車では見えにくい。
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そこで、車体の後ろ全体で光るハザードが、もっとも伝わりやすい「ありがとう」になったのだろうと思われる。日本ではクラクションを控えめに使う傾向もあり、音より光で伝えるマナーが受け入れられやすかったのかもしれない。
もっとも、この合図は万能ではないことも知っておくべきだ。海外ではサンキューハザードが日本ほど一般的に通じるとは限らない。ハザードはあくまで危険や故障、急停止を示すものと見なされる地域もある。つまり、日本で通じる「ありがとう」が、外国では「何かトラブルか?」に変わってしまう可能性があるのだ。