アウディがガチで計画していた「ディーゼルスーパーカー」! ルマンのV12ディーゼルを積んだ幻のR8とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■初代アウディR8にディーゼルエンジンを搭載する計画が存在した

■ル・マン連覇のV12 TDIをR8へ搭載し1000Nmを発揮する異色のスーパーカーだった

■開発費と金融危機の影響で計画は中止に追い込まれた

ル・マン覇者の技術を公道へ

 2023年にモデルライフを終えた2代目R8以降、アウディのラインアップで空白となっていたスーパーカーの項に、ブランニューモデルである「ヌヴォラーリ」が登場した。ランボルギーニ・テメラリオ譲りのPHEVパワーユニットは、1万回転を許容するV8ツインターボエンジンと3つの電気モーターを組み合わせ、システムではテメラリオにも勝る1001馬力を発生。久方ぶりのスーパーカーにふさわしい内容となっている。

 さて、その現在から遡ること20年。ヌヴォラーリの実質的な先代モデルであるR8の初代モデルが、こちらもランボルギーニのガヤルドとコンポーネントを共用したアウディ初の本格スーパーカーとしてデビューした。当初は4.2リッターV8エンジンのみの設定であったが、2009年に5.2リッターV10エンジン搭載モデルを追加。2代目では2023年のモデル終了までV10ユニット1本となった。

 そのR8に、ディーゼルエンジンを搭載するという計画があったことをご存じだろうか。

 2006年と2007年、アウディはR10 TDIでル・マン24時間レースを2年連続で制覇した。ガソリンエンジン勢が居並ぶなかで、ディーゼルエンジンが最高峰の耐久レースを支配するという歴史的快挙だった。R10に搭載された5.5リッターV12 TDIレースエンジンは650馬力以上を発揮し、その静粛さと圧倒的なトルクで専門家やレースファンを驚かせた。

 そして、さらなる衝撃はル・マン制覇直後の2008年1月に訪れた。デトロイトモーターショーに「アウディR8 V12 TDIコンセプト」が登場した。その名のとおり、R10で磨かれたV12ディーゼルの技術を公道仕様のR8に投入してしまったのだ。

 搭載されるのは、総排気量5934ccのV12ツインターボディーゼルエンジン。500馬力という最大出力も当時としてはかなり強力なものだが、このユニットの白眉といえるのはディーゼルならではの巨大なトルクだ。その最大トルクは、脅威の1000Nm。そしてこの大トルクは、1750rpmから3000rpmにかけて継続して発生する。

 2.6barのブーストを発生させる2基のタービンはエンジンV字の外側にそれぞれ配置され、可変ジオメトリ機構により低回転域でも鋭いレスポンスに。ボッシュ製の超高圧コモンレール式燃料噴射システムや、当時最先端技術であったピエゾインジェクターを採用。DPFやアドブルーシステムも投入され、超高出力とともに、2014年施工予定だったユーロ6をパスするエミッション性能をも実現していた。

 強大なトルクを6速MTを介して4輪から路面へ伝えるのは、もちろんアウディお家芸のクワトロシステム。巨大なエンジンによって1860kgまで重くなった車重を、0-100km/h加速4.2秒、最高速度300km/h超というレベルで引っ張り上げる。データこそ発表されていないものの、ディーゼルならではの高トルクが遺憾なく発揮される中間加速では、多くの市販スーパーカーを軽く蹴散らす速さをもっていたであろうことは想像に難くない。


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