新興ブランドEV花盛りの北京モーターショーの影でひっそり……オールドブランドの「アラカン向けセダン」もまた中国の自動車産業を支えていた (2/2ページ)

昔ながらのセダンが中国の自動車産業を支えている

 2005年に英国MGローバーが経営破綻した。MGローバー全体の所有権はBMWに移るのだが、MGブランドの知的財産権は南京汽車、ローバーのエンジンや車体設計などの知的財産権は上海汽車が取得した。しかしローバーという商標は取得していなかったので、ROEWE(ロエベ/栄威)というブランドを立ち上げ、取得したローバー75の生産設備を活かしてロエベ750を2006年より生産及び販売をスタートさせた。なおMGを取得した南京汽車はその後上海汽車に吸収合併されたことで、MGの商標や知的財産などは上海汽車が取得することとなった。

 気がつけばロエベブランドは誕生から20年が過ぎたことになる(MGはsince 1924を譲らない)。

 2026年4月24日から5月3日の会期で開催された第19回北京国際自動車展覧会(北京モーターショー)会場内を歩いていると、ちょうど筆者が中国の自動車ショーへ出かけはじめたころにデビューしたロエベも含む懐かしいブランドに巡り合うことができた。

 長安汽車のイードゥ(逸動)、奇瑞(チェリー)汽車のアリゾ(艾瑞澤)などである。いずれも中国でセダンが圧倒的に人気が高かったころにブランドが立ち上がっていることもあり、いまだにセダン、しかもICE(内燃機関)車メインでラインアップしているのである。

 しかも中国車のなかでは、ネオクラシカルとでも表現できる、オーソドックスなセダンスタイルのモデルも目立ち、来場者で混みあう会場内でもこれらのブランド展示車のまわりは訪れる人も少なかった。何がいいたいかというと、中国車のなかでもオールドブランドと新進気鋭ブランドにわかれるようになってきたのである。

 外資でもいち早く中国国内でサンタナの現地合弁生産をスタートさせたVW(フォルクスワーゲン)は、本国ドイツ以上に中国での売れ行きが長年にわたりよかったこともあり、オールドブランド化しているように見える。BEV(バッテリー電気自動車)のIDシリーズやクロスオーバーSUVのティグアンあたりはまだしも、セダン系では一汽VWのサジター(速騰)Lや、上海VWのラヴィーダ(朗逸)といったおなじみのセダンの展示車まわりは、ほかのVW展示車のまわりには人が多いのに、こちらには人がほとんどいないといった様子となっていた。

 VWブランド自体がオールドブランドとなるなか、中国の消費者の間では伝統的セダンともいえるこの2台はとくに古風なモデルとなっているようである。いままで挙げてきた車種の実車についてアラカン(もうすぐ還暦)を迎えるセダン大好きな筆者が見て、「なかなかいいねえ」と感じるのだから、古臭いオーラを発しているのは間違いないだろう。ただ日本より加速度的に少子高齢化が進む中国では当然ながら、運転免許所持者の高齢化も加速しているものと想像できるので、これらのモデルが縁の下の力もちとして各ブランド全体の販売台数を支えているのかもしれない。


この記事の画像ギャラリー

小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報