ジムカーナの猛者たちは何をやっている? 一般道でも使える「マシンセッティング」の中身を聞いてみた (2/2ページ)

トップドライバーのセッティング術を学ぶ

 このように、全日本ジムカーナ選手権で上位争いを展開するドライバーは、ベストタイムをマークするためにシビアなセッティング変更を行っているが、その技術は競技をやっていない人でも、ワインディングやサーキットでの走行会にも応用可能で、なかでもエア圧はビギナーでもできる超簡単なセッティングとなっているようだ。

「タイヤの内圧でマシンのフィーリングは大きく変わります。内圧を高くすると初期の応答がよくなりますが、Gがかかったときは内圧が低いほうがタイヤの接地面が増えるので、タイム的には内圧が低いときのほうがいいときもある。たとえば今回のタマダであれば、タイヤの内圧を0.1kg/cm2を変えるだけで、0.2秒ぐらいタイムは変わると思うので、そこはタイムを重視してエア圧を調整したい部分です。私の場合は0.05kg/cm2単位でエア圧を調整していますが、競技をやっていない人の場合は、0.2kg/cm2ぐらい変更すれば、すぐにその違いがわかると思います」と語るのはGRヤリスを駆る津川選手だ。

 さらにエア圧だけをみても、GRヤリスには独自のセッティングが必要になっているようで、「GRヤリスの場合、リヤのエア圧が変わってくる。コーナリングを重視したいのならエア圧を低めに設定するし、ターンを重視したいならエア圧を高めに設定する傾向はあります」とのことだ。

 ホンダS2000を駆る広瀬選手もエア圧に関してシビアな調整を行っているようで、「僕の場合、エア圧は0.05kg/cm2単位で調整していますが、競技をやっていない人もセンサーを磨いていけば、エア圧を0.1kg/cm2変えるとその違いがわかってくると思います。ステアリングの初期反応やトラクション、ブレーキとかすべてのフィーリングが違うし、タイムも変わってくる。それは市街地を走っていてもタイヤの転がり方が違うのでわかると思う。走行会などではタイヤのエア圧を細かく変更してみて、もっともいいタイムが出たときの数値が適正だと思います」と語る。

 ちなみにトヨタMR-Sの小林選手はタイヤの内圧をあまり変更しないようで、「ロードスターでPN2クラスを走っていたときは、セッティング変更ができるところが少ないのでエア圧も変えていましたが、いまはほかの部分で変更する要素が多いので、エア圧は固定にしてほかの部分を変えながらセッティングをしています」とのこと。

 さらに、全体的にドライ路面のエア圧の数値はかなり低く設定されており、その一方でウエット時にはエア圧を高く設定する傾向にあるようだ。

 まさにタイヤのエア圧はドライビングフィールとタイムを左右する超簡単なセッティングといえるが、このほかにもエアコンのオン・オフもマシンのパフォーマンスに大きく影響するようで、PN5クラスでナンバー付きのGRヤリスを駆る津川選手は「PN車両はエアコンが付いているので、出走する前はファンで水温を下げるためにエアコンを付けています。そのほうがエンジン出力を出しやすいんですけど、ここで注意したいのが、出走前にエアコンをオフにすることです。エアコンを切り忘れてしまうと必ずエンジンの出力に影響してくると思います」とのことで、エアコンのオン/オフも簡単なセッティングだといえるだろう。

 そのほか、津川選手によれば「ブレーキパッドも簡単なセッティング変更です。タイヤの限界付近で走っているときに、コントロールできるパッドがジムカーナには最適だと思う。僕のクルマのブレーキパッドは、利きだけでいえば強いほうではないけれど、コントロールがしやすくなっています」とのこと。

 このようにタイヤの内圧やエアコンのオン/オフでもマシンのパフォーマンスは変わってくるだけに、スポーツカーのオーナーは、超簡単なセッティングとして試してみてはいかがだろうか?


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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