コストのハードルを下げてもっと多くの自動車メーカーに参加してほしい! WRCがまたもマシン規定を変更する狙い (2/2ページ)

大幅なコスト削減がキモ

 ところで、ラリー1規定は、シャシーにスペースフレーム構造が認められたことから、車両概略としては化け物といわれたグループB車両に近似することになった。そのラリー1規定が、2022年の発足から5年を経た来2027年、WRC27ラリー1規定として変更されることになったのである。

 といっても、現行のラリー1規定から大きな変更はなく、エンジンは1.6リッターターボ、これに4WDシステムを組み合わせる車両パッケージングはこれまでと変わらず。目立つ変更点は、正面、側面、屋根、後部からの衝突に対し、車内の変形抑制や衝突エネルギー吸収性能を高めた汎用性の高い新型セーフティセルの設定が挙げられるが、もっとも大きな狙いは、車両のイニシャルコスト、ランニングコストを削減した点にある。

 現行車で100万ユーロともいわれる車両価格を34万5000ユーロ(ターマック仕様)に抑えた措置で、使用パーツの耐久性を上げたり、パーツコストを下げたりすることでコストダウンを図っている。また、シーズン3基までとしたエンジンを2基に制限する条項も含まれている。

 こうしたコストダウンが意図するところは、参戦メーカー・コンストラクターの増加にあると見てよい。現状のWRCに参戦するメーカーは、トヨタとヒョンデの2社のみ。とくにトヨタの存在感が大きく、世界選手権タイトルを通算9回、2021年から昨2025年まで5連覇を遂げる実績を築き上げている。

 うがった見方をすると、ヨーロッパラリーの名門フォードも参加しているが、Mスポーツによる参戦体制で、トヨタ、ヒョンデとは体制が異なり分の悪い存在になっている。フォード自体は2012年に撤退して以来、メーカーとしての参戦活動は行っていない。

 2027年の規定改定は、トヨタ、ヒョンデ以外のメーカーに門戸を開く変更と理解することができ、とくにフォードの活性化に期待が置かれているようにも受け取れる。これもうがった見方だが、かつてMスポーツを率い、フォードと密接なつながりをもつマルコム・ウィルソンが、2025年にFIAのスポーツ担当副会長に就任したことも、今回の規定変更とあながち無関係ではなさそうに思えてくる。

 新たなメーカーやコンストラクターの参戦が得られれば、WRCそのものの魅力が増すことは疑いようもなく、活性化したWRCが関連するスポンサー企業や新たなラリーファンの獲得に大きくプラスとなることも間違いないだろう。いずれにしても、参戦メーカー・コンストラクターが増え、WRCが活性化することを期待したい。


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