個性豊かな日本のコンパクトSUVたち
そして、この5台はエンジンやハイブリッドシステムの考え方がまったく異なっているのもおもしろい。キックスはご存じのとおり1.4リッター発電専用エンジンを搭載した第3世代e-POWERだ。対するライバルたちは、ヤリスクロスが1.5リッターハイブリッドと同ガソリン。ヴェゼルが1.5リッターe:HEVでクロストレックが2リッターマイルドハイブリッドと2.5リッターS:HEV、CX-30が2.0リッターガソリンとマイルドハイブリッドを揃える。
もっとも注目なのはやはりキックスのe-POWERだ。エンジンは発電のみを担当し、駆動は常にモーター。つまりEVに近い走りが味わえる。ヴェゼルのe:HEVもモーター主体となるが、高速域ではエンジン駆動も行う。
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そのほか、ヤリスクロスは燃費重視でクロストレックは大排気量エンジンによる余裕ある走りが特徴で、電動アシストを伴わないヤリスクロスとCX-30の一部グレードは、純エンジン車らしい自然なフィーリングを楽しめる。
ちなみにWLTCモードでの燃費は次のようになる。ヤリスクロスHVが最大30.8km/L、キックスが25.7km/L、ヴェゼルe:HEVが約24.8km/L、クロストレックS:HEVが約18〜19km/L、CX-30が約15〜20km/Lだ。
燃費だけを見るとヤリスクロスが他を圧倒するが、キックスはモーター駆動による静粛性や加速フィールも魅力であり、燃費とは別のロジックで価値を提供している。
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もうひとつ、駆動方式でも比較をしておきたい。全車、2WDのFFと4WDをラインアップしているが、ここでは個性の出やすい4WDで比較をすると、やはり悪路性能では伝統のシンメトリカルAWDを採用するクロストレックが頭ひとつ抜けている。
一方、新型キックスのe-4ORCEは前後モーター制御による電動4WDであり、雪道や高速道路での安定感は非常に高く、一般ユーザーが体感できる安心感ではクロストレックにも匹敵する。ヴェゼルやヤリスクロス、CX-30の4WDも必要十分ではあるが、本格的な走破性ではやや差があるといったところだろう。
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と、このようにさまざまな方向から5台を比較することで、各車のキャラクターが鮮明になってきた。
日産キックスはEVのような走りを楽しみたい人向けで、静粛性や加速感、先進装備を重視するユーザーに最適。トヨタ・ヤリスクロスは燃費最優先の人向けで、維持費をとにかく抑えたいというユーザーには最強の選択肢だ。高いAWD性能と悪路走破性を備えるスバル・クロストレックはアウトドア派や雪国ユーザー向け。マツダCX-30は走りやデザイン、内装の質感を重視する人向けでプレミアム感を求めるなら魅力的な存在だ。そしてホンダ・ヴェゼルはもっともバランスが取れた万能選手。ファミリーユースであれば愛車の最有力候補ともいえる。
さすがは激戦区の日本のコンパクトSUV市場。比較をしてみたら、いずれ劣らぬキャラクターを備えた個性派モデルが揃っていた。もしも「運転して気もちいい電動SUV」をお望みであれば日産キックスを選んでおけば間違いはなさそうだ。