この記事をまとめると
■ホンダ・インサイトは中国向け「e:NS2」ベースのBEVとして日本導入された
■中国市場では開発スピードや先進技術競争が激しく右ハンドル化の優先度は低い
■当面は中国向けBEVの国内導入は限定的となりそうだ
中国生まれのBEVが日本で売られる時代はやってくるか?
ホンダが復活させたインサイト(4代目)が、クルマ好きの間で話題となっている。ホンダの電動化を象徴する「インサイト」という名前が、ついにBEV(電気自動車)になったという面もあるが、その出自が中国にあるということも大きい。具体的にいえば、日本でインサイトと呼ばれるBEVは、ホンダが中国で開発した「e:NS2」の右ハンドル仕様である。
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ご存じのように中国の自動車マーケットはBEVにおいて先行している。BEVの心臓部分たるバッテリーは最新テクノロジーから生まれている。自動運転テクノロジーについても中国市場は許容度が高く、そうしたトレンドを取り込んだADAS機能やインフォテイメントシステムについても先進的だ。
また、スタイリングについても魅力的なモデルが多い。
日本の自動車メーカーが中国向けに誕生させたモデルでも、スタイリッシュな4ドアクーペフォルムのマツダEZ-6や、日産がフィリピンで発表したプリメーラEV(中国名:N7)などは、日本のファンからも「国内へ導入してほしい」という声が上がっている。
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はたして、ホンダがインサイトを日本導入したように、ほかのメーカーでも中国向けBEVの国内展開はあり得るのだろうか。
結論をいえば、中国向けBEVの日本導入については期待薄と断言できる。その理由は、中国国内での競争が激しいことにある。
ホンダ・インサイトの一充電走行距離は535km(WLTCモード)で、先進運転支援システム「ホンダセンシング」が標準装備される。550万円の価格に130万円のCEV補助金が期待できるとなれば、日本国内の基準では十分に競争力のあるBEVだが、中国仕様の「e:NS2」は現地で苦戦しているという。
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たしかに、インサイトのホンダセンシングが高速道路でのハンズフリーに対応していないという点は、日本でも最新のBEVとしてみると物足りなく感じる。AIを活用した自動運転が現実化している中国で競争力をもつのであれば、もっともっと先進テクノロジーを満載している必要がある。そのくらい日本と中国では市場の求めるレベルが違うといえるし、そこに対応した超高速な開発スピードが求められる。
翻って、中国向けのBEVを日本で売るためには、設計段階で右ハンドル仕様を織り込んだり、インフォテイメントシステムや急速充電において日本のそれに対応しておく必要がある。
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そうした対応は開発スピードにはネガティブ要素であり、中国市場での競争力を高めるには、右ハンドル仕様を想定することは避けたいというのが、少なくとも開発現場の正直な気もちではないだろうか。
右ハンドル仕様を作るには、ハンドルやペダルを配置するためのダッシュパネルの設計、エアコンユニットのレイアウトなどなど、設計で考慮すべき点は増える。開発スピードが日本の倍以上も速いといわれる中国市場で競争するには、このような検証すべき要素が増えることはマイナスでしかないからだ。
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経営判断としても、日本というBEVのシェアが極端に少ないマーケット向けに、中国向けモデルの開発スピードを犠牲にしてまで右ハンドル仕様を用意するという判断は考えづらい。
つまり、中国向けの先進的で魅力的なBEVは、中国(およびアジアの左ハンドル圏)に限った商品企画としてまわすことが、現時点での最適解といえるのだ。
今後、中国のBEVマーケットが飽和的となって競争が落ち着いてくると、中国における生産能力を有効活用するべく、日本をはじめとした右ハンドル圏への輸出も必要になってくるだろう。そうした時代になれば、中国生まれの先進的なBEVを国産メーカーが日本に導入することもあるかもしれないが、いますぐにそうなるとは思えない。それほど、中国での競争は激しく、他の地域向けに開発リソースを割いている余裕はないからだ。