なぜかイタリアにドイツ人御用達の巨大リゾート! アウディの歴史に刻まれる「Union Lido Mare」に潜入してみた【みどり独乙通信】 (2/2ページ)

「Union Lido Mare」はアウディの歴史の1ページ

 また、テント泊以外にもコテージ棟やキャンピングカーで宿泊できる区画が作られたほか、レストランやスーパーマーケットやジェラート屋さんなどの売店なども敷地内にあった画期的な総合キャンプ施設だったようです。現在はそのような設備も当たり前なのかも知れませんが、いまから70年以上も前から利用者目線のキャンプ場が作られていたなんて、本当に驚きました。

 一方で、真夏の暑いイタリアを快適に過ごすべく1万4000本もの植樹がされたといい、この施設の敷地は非常に心地よい木陰があって爽やかなのです。

 1950年代に幼少期を送った先輩ドイツ人の元新聞記者に話をうかがうと、当時はまだアウトバーンもなく、いまよりも小さなクルマで家族とキャンプ道具を積んでひたすらドイツから国道やアルプスの峠を何時間も走ってイタリアまでキャンプに行っていたそうです。外国でキャンプ旅行をするというのは、当時の庶民にとってはとても特別なことで、この方は小学校1年生の夏休み後の新学期に、その旅行の一部始終を発表する会が開催されたといいます。

 1955年にグランドオープンをしたときは「NSU Lido」という名称でしたが、1972年にはインゴルシュタットに本社を置くUnion(ウニオン)社と経営合併をすることなり、「NSU Lido」から「Union Lido」となり、現在は「Union Lido Mare」と名称を変更しています。

 所有権こそアウディやその母体となるフォルクス・ワーゲングループの所有ではなく、別の会社に移っていますが、「Union Lido Mare」のスタッフによると、いまもアウディの従業員には宿泊費の割引が適用されているとか。

 2時間、このアウディの歴史の1ページでもある「Union Lido Mare」の敷地内をたっぷりと見学させていただきましたが、敷地内にはアウディのヒストリックカー部門の「Audi Tradition」から貸与されているNSUの車両がステキにディスプレイをされていました。

 スーパーマーケットやブティック、レストランや薬局、ATM、クリーニング店、ゲームセンター、遊園地施設、プールなど、この広大な敷地内にはひとつの小さな街が作られているといっても過言ではありません。構想当時からのコンセプトがいまも継続されながら、現代のニーズに合った近代的なホテルやフィットネススタジオなども作られ、総合レジャー施設として年間を通して楽しめるようになっているそうです。

 私が訪れた日はまだバカンスシーズンには早かったこともあり、キャンプをしている方々は少な目でしたが、それでもスペインやフランス、ドイツ、オランダなど、ヨーロッパ各地のナンバープレートを掲げた車両が並んでいました。

 もともとはNSUの職員や車両オーナーのために作られた施設ですが(当時も外部の方の宿泊は可能でした)、いまや世界中の人々がこの地で楽しいバカンスの日々を過ごしているそうです。

 そしてなによりもスタッフの方々がとても親切で、いまでもNSU、Union、そしてアウディにリスペクトをされていることが伝わってきました。


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