ただ重ねりゃいいってもんじゃないのよ! 物流の勝負は「荷物を積み込む前」から始まっていた (2/2ページ)

日常の何気ない作業こそ安全にかかわる重要な要素

フォークリフト事故は動いているときだけではない

 フォークリフト事故というと、走行中の接触や衝突を想像しやすい。しかし、実際の現場では、停止時や荷役中にも危険が多いのだ。荷物をもち上げたまま一時停止しているとき、マストを傾けたとき、爪を抜くとき、荷物を置いた直後。こうした瞬間に荷崩れや挟まれ事故が起きることがある。止まっているから安全、というわけではないのがフォークリフトの怖さだ。

隙間がある積み方は揺れに弱い

 荷台やパレット上に微妙な隙間があると、走行中の振動で荷物が少しずつ動く。最初は数ミリでも、ブレーキや右左折を繰り返すうちにズレが大きくなり、やがて荷崩れにつながる。とくに箱のサイズがバラバラな混載便では、隙間をどう埋めるかがポイントだ。緩衝材や空パレット、仕切りを使うのは、見た目を整えるためではなく、荷物を動かさないためだ。

ラップ巻きは見た目より締め具合

 ストレッチフィルムで荷物を巻く作業も、じつは奥が深い。軽く1周巻いただけでは、見た目はまとまっていても輸送中の揺れには耐えられない。逆に強く巻きすぎると、柔らかい箱はへこんでしまう。下段をしっかり固定し、上に行くほど適度に締める。さらにパレットと荷物を一体化させるように巻くのがポイントだ。ラップ巻きは、単なる仕上げではなく荷崩れ防止の重要な工程なのである。

軽い荷物ほど油断できない

 重い荷物は危ないという意識が働きやすいが、軽い荷物も意外と厄介。軽い箱は風や振動で動きやすく、上に積むとズレやすい。また、軽いからといって乱雑に扱われると、中身が精密部品や食品だった場合に破損や品質トラブルにつながる。物流現場では、重い物は重さで危険、軽い物は動きやすさで危険。どちらにもそれぞれの怖さがある。

 物流現場の安全は、特別な技術だけで成り立っているわけではない。箱の向きを見る、重さを考える、雨の日は滑る前提で動く、降ろす順番を考えて積む。そうした当たり前に見える判断の積み重ねが重要だからこそ、物流のプロは荷物を見る目が細かい。一見なにも注意するべきところはないような荷物の積み方ひとつにもちゃんと理由があるのだ。


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