アルピナチューンのZ8は555台の希少車
だが、このZ8にはさらなるストーリーが待っていた。やや前書きが長くなってしまったが、それがここで紹介する、2004年にデビューを飾った、「アルピナ・ロードスター V8」というZ8の派生形の登場だ。
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すでに現在では、アルピナの商標権はBMWへと譲渡され、BMWは「BMWアルピナ」という新たな高級車ブランドを組織、一方のアルピナは「アルピナ・クラシック」の名のもとに、これまで生産してきたアルピナ車のメンテナンスやパーツ供給を行う会社を立ち上げるとともに、こちらも高級スポーツカーを生み出す「ボーフェンジーペン」社の活動をスタートさせていることは周知のとおり。
そのアルピナがこれまでの長い歴史のなかで受け継いできたもっとも重要な企業哲学は、パフォーマンスとラグジュアリーを最高のレベルで両立させること。
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2004年に彼らのもとからロードスターV8が登場したとき、世界のアルピナ、BMW、そしてスポーツカーのファンは、それがどのようなキャラクターをもつモデルへと変貌したのかに興味津々だった。
ロードスターV8がもつキャラクターは、まず搭載エンジンから表れていた。Z8のBMW M社製4941ccユニットに代わって搭載されたのは、アルピナの「B10」にも使用されていた4837ccのV型8気筒DOHCで、最高出力は389馬力とZ8より控えめな設定ではあったものの、最大トルクの520Nmは、Z8のそれよりも20Nmも魅力的なスペックだった。
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実用域での扱いやすさを重視した、このトルクフルなアルピナ製のエンジンには、ZFとの共同開発による5速ATが組み合わされ、それにはもちろんアルピナ独自のマニュアルシフト機構、「スイッチトロニック」が導入された。ドライバーはよりラグジュアリーな感覚で、オープンエアのドライブを楽しむことができたのだ。
とはいえロードスターV8は、ただ単に快適で高級なオープン2シータースポーツではなかった。アクセルペダルを一気に踏み込めば、0-100km/hを5.3秒で加速し、最高速はリミッターの作動する260km/hに至る。シャシーのチューニングは、これもまたアルピナが世界に誇るもの。俗にアルピナマジックとも呼ばれる、乗り心地と安定感を両立させたサスペンションの動きは、ロードスター V8においてももちろん十分にその価値を感じることができるに違いない。
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アルピナは2004年と2005年の両年に、世界限定555台でこのロードスター V8を生産。そのうち450台は北米へとデリバリーされた。参考までに日本には18台が割り当てられたという。