電動ファンによって2000kg相当のダウンフォースを発生
しかし、このクルマ最大の特徴はパワーではない。後方に搭載された電動ファンによる「Downforce-on-Demand(ダウンフォース・オン・デマンド)」と呼ばれるシステムこそが、このクルマの見どころだ。
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通常のスーパーカーやレーシングカーは、巨大なリヤウイングやディフューザーを使って空気の流れを利用し、高速走行時にダウンフォースを発生させる。一方、スピアリングは床下の空気を大型ファンで強制的に吸い出し、車体下面を真空に近い状態にすることで路面へ吸い付かせる。その結果、停止状態からでも車重を上まわる約2000kg相当のダウンフォースを発生させることが可能となった。これは車重を大きく上まわる数値であり、速度に依存しないダウンフォースを得られることが最大の特徴だ。
1970年代にはF1のブラバムBT46BやCan-Amのシャパラル2Jなどが同様のファンカー技術を採用し、圧倒的な性能を示したものの、その後レギュレーションや政治的背景もあって姿を消した。その禁断の技術を蘇らせたのである。
このダウンフォースがどれほど強力か、それを証明した実験がある。マクマートリーは2025年、前代未聞のデモンストレーションを実施している。専用に製作した回転式プラットフォームへスピアリングを載せ、ファンを作動させたまま車体ごと180度回転させてみせたのだ。
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驚くべきことに、クルマはそのまま天井に張り付いた状態になった。そしてドライバーはスピアリングを前進させ、自力で天井走行を成功させた。
もちろん一般道でそんなことをする機会は一生ないだろう。そもそもスピアリング・ピュアはサーキット専用車として販売される。しかし、ダウンフォースが車重を超えると車両は路面に張り付くという理論を、世界で初めて「実車による天井走行デモンストレーション」によって成功させた。市販されるスピアリング・ピュアは世界限定100台。価格は99万5000ポンドで、日本円に換算すると約2億円となる。製造はハンドメイドで、オーナー向けには専用のトラックイベントや技術サポートも用意されるという。
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天井を走れるクルマなんて、おそらく今後もしばらくは現れないのではないだろうか。だからこそ、このスピアリング・ピュアは単なるハイパーカーではなく、自動車史に名を刻む車両として、後世まで語り継がれる存在になるだろう。まさに、自動車技術の常識をひっくり返した瞬間だったというわけだ。