この記事をまとめると
■スチールホイールの「ワイド加工」は1970年代のチューニング文化を支えた技術だ
■「鎌ヶ谷ワイドホイール」は累計10万本以上を加工した”最後の砦”ともいえる存在
■現在は旧車だけでなく海外やゴルフ場からも依頼が集まっている
レース用としてスタートして口コミで評判が広がった
「ワイド加工ホイール」をご存知だろうか? スチールホイールを加工してリム幅を拡幅する手法で、アルミホイールが高価だった時代には需要の高かった加工技術だ。
ワイド加工されたスチールホイール画像はこちら
ここで紹介する千葉県の鎌ヶ谷ワイドホイールは、そんなワイド加工ホイールの老舗ショップであり、ワイド加工技術を現代に伝える最後の砦的な存在である。代表の大迫さんにお話を伺ってみると、鎌ヶ谷ワイドホイールは1971年に創業し、すでに半世紀以上が経過している。その原点は自身の体験だったそうだ。
もともと特殊溶接などを学んでいたという大迫さん。当時はマツダのロータリークーペを駆り、ジムカーナや筑波サーキットでのレースを楽しんでいたという。そこで自作したワイド加工ホイールにレース用のダンロップCR88を組み合わせて参戦したところ、その仕上がりが仲間内で評判に。やがて加工依頼が舞い込み、口コミで広がるかたちで注文が増加。気づけばワイドホイール製作のスペシャリストとして知られる存在に。
鎌ケ谷ワイドホイールの大迫さん画像はこちら
「あの頃の国産車は標準装備のタイヤがまだバイアスだったし、幅も細いタイヤがほとんど。すでにアメリカから幅広い舶来タイヤが入ってきていたんだけど、それを履くためのアルミホイールがすごく高価だったんだよね。それで純正鉄ホイールのワイド加工が人気になったんですよ。当時はグラチャン全盛期でね。幅広い偏平タイヤを履くためにワイドホイールを欲しいって人が多かったんだ。時代も良かったんだろうね」
こうして1970年代後半にワイド加工ホイールは全盛期を迎えることとなる。当時は従業員も7人ほど雇ってファクトリーはフル稼働。1日に50本以上のホイールを加工していたというからスゴい。事務所の一角にはそんな当時の隆盛を物語るかのように、大迫さんが作ったホイールを履いた当時の車両の写真が多数飾られていた。当時はお客さんがわざわざ写真を持ってきてくれたのだとか。いまでいうSNSへの投稿に似たムーブメントだったのだろう。
鎌ケ谷ワイドホイールでワイド化されたスチールを履いた車両の写真画像はこちら
いまもワイド加工の依頼は絶えないが、令和の現在では、旧車オーナーが当時の雰囲気作りのためのアイテムとしてワイド加工ホイールをオーダーする事が多いと言う。