商用軽の活用は伝統的手法でビートも軽トラがベースだった
現時点で、ダイハツのラインアップから横置きエンジンに使うMTは消滅しつつある。一部のスポーツモデルのためだけに横置きMTを作り続けるのは非現実的だ。しかし、FRの軽商用車ではMTは欠かせないため安定的な供給が期待できる。また、軽商用でもATはCVTとなっているので、AT限定免許のユーザーにも対応できるだろう。
軽スポーツカーといえば、平成初期のABCトリオことマツダ・オートザムAZ-1、ホンダ・ビート、スズキ・カプチーノを思い出す。このなかで、ビートについては同社の軽トラック「アクティ」の基本設計を利用していたと言われている。最終的にはまったく別物になったようだが、次期コペンが軽商用車のパワートレインの活用を前提に開発を進めているのは、軽スポーツカーとしては伝統的な手法と言えそうだ。
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ちなみに、ABCトリオでFR駆動だったのはカプチーノだけ。専用プラットフォームにより前後ダブルウィッシュボーンのサスペンションを与えられていたことで知られている。次期コペンにおいてもシャーシは専用設計となるだろうから、マルチリンク構造などポテンシャルが高い足まわりとなる可能性はある。
ちなみに、イギリスのケータハムにはスズキの縦置きパワートレインを流用した軽自動車のバリエーションも存在している。軽商用車のエンジンやトランスミッションを利用するというのは、ある意味グローバルスタンダードなのかもしれない。
信頼性・安心感につながるヘリテージもポイント
日本の軽自動車/コンパクトカーシーンが大きく変わりそうな予感も、今回のジャパンモビリティショーにはあった。それはアンダー軽自動車サイズのモビリティの登場である。ダイハツの「ミゼットX」やホンダの「マイクロEV」が、そうした軽自動車より小さなクルマの未来を示していた。
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この2台には新しいコンパクトカー像を提示するだけでない共通点もある。それがヘリテージ(=遺産)を活かしていることだ。ダイハツの原点とも言える3輪トラック「ミゼット」の名前を冠していることもそうだが、ホンダのマイクロEVも360㏄時代の珍車として知られる「バモスホンダ」のスタイリングから影響を受けていることは明らか。
コミューターと呼ばれる街乗り専用の小さなモビリティは、既存の自動車メーカー以外の参入もあるカテゴリーではあるが、こうしたヘリテージの活用はブランドへの信頼感や商品の安心感につながる差別化ポイントとなるかもしれない。
じつはフランスなどでは14歳以上になると運転免許不要で運転できる4輪の小さなEVが生まれている。シトロエンは懐かしい「アミ」という名前を復活させ、フィアットはチンクエチェントを思わせるスタイルの「トポリーノ」を用意する。ミゼットXやマイクロEVは、まさしくそうした欧州の動きとの一致を感じさせる。
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軽自動車規格だけでなく、アンダー軽サイズのコミューターにおいても日本車が世界展開する意気込みを、今回のジャパンモビリティショーは示したのかもしれない。
EVコミューターで叶える誰にでも自由な移動
ところで、軽自動車枠より小さいクルマといえば、平成前期に登場したダイハツ・ミゼットIIやスズキ・ツイン、スバルR1を思い出す人もいるだろう。しかし、これらのモデルはボディ長こそ短かったものの、パワートレインは軽自動車規格のフルスペックで、R1に至ってはスーパーチャージャーの過給エンジンも設定していた。
一方、令和のアンダー軽サイズのコミューターはEVを前提としたもの。トヨタ・Cポッドのように軽自動車のナンバーは付けているが、最高速度が60km/hに制限されている。ミゼットXやマイクロEVといった小さなモビリティも、同様に街乗り専用を想定している。そして、こうしたモデルが増えるには、軽自動車より小さい、新しい車両規格の制定が必須と言えるだろう。
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また、街乗り専用となれば速度域が低いため、より簡便なシステムで自動運転が可能になるという話もある。懐かしいルックスやネーミングの、そうしたモビリティで誰もが自由に移動できる、明るく楽しい社会をおおいに期待したい。
※本記事は雑誌「CARトップ2026年3月号」の記事を再構成して掲載しております