タイを抜いて東南アジアNo.1の自動車大国に躍り出たマレーシア! ところがモーターショーが意外なほど「地味」な理由とは (2/2ページ)

東南アジアで自国ブランドをもつ国は少ない

 自国ブランドとはいえプロトンは2017年に中国吉利(ジーリー)ホールディングス傘下となり、国民車とも呼ばれる「サガ」以外はジーリー車のバッジエンジニアリングとも呼んでいいモデルがラインアップされている。一方プロドゥアにはダイハツも出資しており、日本でもお馴染みのダイハツブランド(一部トヨタブランド)車をプロドゥア風にアレンジしたモデルがラインアップされている。しかし、タイや東南アジアでは自国量販ブランド車すら存在しないが、マレーシアは自国ブランドを有することで状況はかなり異なっているのである。

 プロトンはジーリー傘下となってから車両価格の上昇が顕著となっているのだが、プロドゥアは相変わらずエントリーユーザーを呼び込みやすいラインアップを維持しており、これが今日の「東南アジアナンバー1市場」形成の一助になったことは間違いないだろう。

 またタイやインドネシアがここ数年グローバル経済に翻弄され経済がそれほど順調ではなく、さらに個人債務の増大などに悩まされオートローンの審査厳格化など、新車販売に逆風が吹き荒れるなかマレーシア経済自体が比較的安定的に成長を続けていることも新車販売を下支えしているようにも見える。

 またプロドゥア車はエントリーユーザー、つまり初めて新車を購入するひとも多く、周辺国ではオートローン利用がほとんどとされる新車販売のなかでも、現金払いでの購入が目立つという話も聞いている。日系など外資系ブランド車は中産階級以上がメインでオートローンを活用した新車販売が目立つようなので、自国と外資ブランドの間で購買層も異なる「二枚看板」状態が上手に市場を刺激しているようにも見える。

 マレーシアはかつて日本の高度経済成長を意識し、「ルックイースト」として経済成長を推し推めた。クアラルンプール市内は東南アジアのほかの都市とは異なり、街なかはきれいでザワザワした雰囲気もなく落ち着きを見せており、リタイヤした日本人が移住先として好んで選ぶというのも納得できる。物価も目立った上昇イメージもなく、帰国してすぐ日本のコンビニで買い物したら「高いなあ」と、日本の物価上昇を強く意識することができた。

 一般的な自動車ショーの目玉というと、メルセデス・ベンツなど庶民には高嶺の花となり、普段は触ることのできない高級車やスーパーカーとなるのだが、そのような人寄せパンダがなく、そしてタイやインドネシアのように会場で積極的な販売活動も展開されず、そしてさらには公共輸送機関での会場の往来が難しいなかでも、会場が多くの来場者でにぎわっていたのを見ると、マレーシアという市場がまだまだ高いポテンシャルをもっているものと強く感じることができた。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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