赤い道路に水しぶきが上がらない道路! クルマの安全のために進化する「舗装」の最前線 (2/2ページ)

ハイドロの危険も抑える先進の舗装技術

 排水性舗装、透水性舗装はスリップ対策だけにとどまらない。雨天時に高速道路を走っていて、前を走っているクルマのタイヤが巻き上げる雨水が非常に少ないことで気づく人もいるかもしれない。前方の水幕に視界を遮られないのは、非常にありがたく、とくに見通しが利きにくい夜間では見逃せないメリットになっている。

 さらに、これも雨天走行時に起こり得る危険な状況として、ハイドロプレーニング現象がある。路上の水たまりを通過した際、そこに溜まった大量の雨水にタイヤの排水能力が追いつかなくなり、水膜の上に乗ってハンドル操作もブレーキ操作もいっさい利かない制御不能状態に陥る現象のことだ。

 とくに、進行方向に路面が連続的に凹んだワダチは、車重の重い大型車が頻繁に通行する道路に多く見られる(タイヤによって凹んだ)路面状態。最近は、このワダチ掘れを抑制するための舗装技術も進歩していると言う。

 ただし、高速道路上にもワダチは存在する。排水性/透水性舗装はまた、少なからずハイドロプレーニングという最悪の事態を抑制する技術であることに間違いなく、従来から「事故率が約8割減った」というデータが、その効果を裏づける何よりの証拠と言えそうだ。

 ちなみに、排水性/透水性舗装は、路面の水膜の除去という安全面以外に、タイヤが路面を通過した際に発生する騒音を低減。環境面の効果も認められていると言う。

バーストも誘発する路面温度のタイヤへの影響

 舗装の話からは少し横道にそれるが、クルマを安全に走らせるうえで路面の表面温度も重要な要素だ。

 タイヤが路面をとらえる力は接地面に用いられているゴム(=コンパウンド)の柔軟性によってもたらされている。つまり、真冬に路面がキンキンに冷えた状態ではゴムは硬い状態のまま。本来のグリップ力が得られず、制動距離が伸びたり、思いどおりに曲がれないなどの事態が起こり得る。走り出しはゆっくり、路面との摩擦熱を加えながら徐々にタイヤをあたためることが肝心だ。

 一方、強い日差しを受けたアスファルト舗装は最高60℃まで表面温度が上昇する。タイヤ接地面の温度が上昇すればグリップ力が増すように思えるが、路面温度は上昇するほど摩擦係数は低下し、滑りやすくなるのだと言う(ただし、路面温度が40℃以上では影響をほとんど受けない)。

 そうかと思えば、走行速度が高まると傾向が逆転。路面温度が下がると今度は摩擦係数が低下する=滑りやすくなるという複雑な現象が起こると言う。さらに、タイヤによっても作動温度帯(本来の性能を発揮できる温度範囲)が異なるのでややこしい。

 一般道では問題にならないレベルの話だろうが、サーキットを走るような人は、タイヤショップなどで詳細を確認することを勧めたい。

 ともあれ、ここではっきり言えることは、気温が高い時期にタイヤの空気圧が不足していることの危険性だ。路面温度を受けてタイヤの発熱量が増せば、たわみやすくなって高速走行で異常な摩擦熱を発生する。スタンディングウェーブ現象を引き起こし、バースト(破裂)に至るリスクが高まるということだ。酷暑の今夏もタイヤバーストが原因で事故に至ったケースが全国の高速道路で多発した。

タイヤグリップを高める意外と身近な特殊舗装

 NIPPOをはじめとする道路舗装会社で、タイヤのグリップ性能を最大限に高める特殊舗装技術の開発・導入が進んでいる。

 その代表的なものが、樹脂系すべり止め舗装、”ニート工法”と呼ばれるものだ。街なかを走っているときに目にしたことがあるだろう。通常の黒いアスファルトと異なる、明るい塗装が施された路面がそれ。

 新設または既存のアスファルト(/コンクリート)舗装面上に、特殊な樹脂を薄く均一に塗布し、その上に耐摩耗性にすぐれた、砕石や砂といった硬質の骨材を散布して路面に固着。とくに雨などで濡れた路面での滑り止め摩擦抵抗性を高めることを目的とした表面処理工法だ。さらに着色磁器質骨材を使ってトップコートを施すことで、明るい色として視認性を高めるとともに注意喚起も図っていると言う。

 実際、その表面は細かい突起があって触るとチクチクするほど。タイヤが滑ってコントロールを失うと危険な市街地や山道の急カーブ、あるいは、その先が交差点になっていたり、横断歩道が設けられている急勾配の長い下り坂などでの採用例が多い。

 さらに、山道などでよく見かけるのが冬季に活躍する凍結抑制舗装と呼ばれるもの。舗装面にゴムチップを用いてタイヤが通過した際に表面の氷が割れる仕組みのものや、電熱によって雪や氷を溶かす”ロードヒーティング”など、その種類は多岐にわたる。

 ふだん何気なく走っている道路も安全・安心、快適な運転を支えるための技術を開発し、随所に導入する取り組みは自動車メーカーやタイヤメーカーとなんら変わらない。今後、舗装技術がさらに、どう進化していくのか? 期待せずにいられない。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年11月号」の記事を再構成して掲載しております


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