LFAコンセプトのダイナミックデモは世界初公開
これだけでも十分に現地はお祭り騒ぎだったのだが、トヨタとレクサスの演出はこれだけで終わらなかった。いや、むしろここからが本番。 事前の公式発表において、パドックでのスタティックディスプレイ(静的展示)のみと予告されていたLFAコンセプトがヒルクライムのスタートラインに並べられ、走行セッションへ電撃参戦したのである。これは、同車にとって世界初公開となるダイナミック(動的)デモ走行という、歴史的な瞬間となった。
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2026のヒルクライムのスタートラインに並ぶレクサスLFAコンセプト 画像はこちら
このLFAコンセプトは、かつて世界を震撼させたV10エンジン搭載の伝説的スーパーカー「LFA」の精神と魂を受け継ぎ、次世代のバッテリーEVとしてレクサスが開発しているものだ。EVになっても、ドライバーを刺激するような五感に響くエモーションや没入感を追求しているという。
そんなLFAコンセプトが、うしろに純エンジンマシンのGR GTとGR GT3を伴ってヒルクライム。未来のハイパフォーマンスカー3台が連なってグッドウッドの丘を攻め上がる姿は、まさに内燃機関と電動化の未来が融合したドラマチックな瞬間であった。
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2026のヒルクライムに参加したレクサスLFAコンセプト 画像はこちら
この特別な3台のステアリングを握った面々も、世界トップレベルの豪華な布陣だった。TGR世界ラリーチーム(WRC)のエースであるエルフィン・エバンスをはじめ、トヨタレーシングのバイスチェアマンである中嶋一貴、そしてこれら3台の開発を実際に担当している石浦宏明。さらに、国内スーパーGTの王者である坪井翔や中山雄一など、そうそうたるメンバーが連日、限界に近い全開走行を披露して観客を魅了した。
さらに現地では、先日のル・マン24時間レースで見事な戦いを披露したばかりの耐久レーサー「GR010 HYBRID」(7号車)の展示や、最新の市販スポーツモデルである「GRヤリス エアロ・パフォーマンス」、新型「RAV4 GRスポーツ」といった最新ラインアップも勢揃い。モータースポーツの現場で得た知見をすぐさま市販車へフィードバックするという、近年のトヨタの哲学がパドック全体から伝わってきた。
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2026のヒルクライムに参加したトヨタRAV4 GRスポーツ 画像はこちら
レクサスのプロジェクト・ゼネラル・マネージャーである行田有志弘氏は、LFAコンセプトについて「これまでにない、BEVスポーツカーの可能性を限界まで押し広げる挑戦だ」と語った。多くのクルマ好きが「電動化の時代になると、スーパーカーのエモーションや操る楽しさは失われる」と不安を抱いているかもしれないが、それは違う。トヨタとレクサスが、エンジンであろうと電気モーターであろうとスポーツカーはいつだってドライバーを高揚させる存在であるということを証明してくれた。
カモフラージュを完全に脱ぎ去り、市販へのカウントダウンが始まったことを印象づけた「GR GT」と「GR GT3」。そして、誰もが予想しなかった電撃の初激走で監修を虜にした「LFAコンセプト」。日本の自動車メーカーが魅せた3台による圧倒的なパフォーマンスは、これからのスポーツカーの未来が明るいことを、大観衆の胸に深く刻み込んだに違いない。