無自覚だけどアナタも煽り運転予備軍!? クルマに乗ってイラッとした経験があるなら覚えておきたい「6秒ルール」とは (2/2ページ)

冷静に自分を客観視して感情を上手にコントロール

 松島さんは言う。

「絶対に怒ってはいけないということではないんです。たとえば、怒りの感情が爆発しそうになったとき、自分の気持ちを素直に言葉にすることは決して悪いことではありません。我慢し続ければイライラはたまるいっぽうですから。ただし、相手や周囲に聞こえないとしても、大声で罵声を浴びせるような行為はかえって感情を昂らせる原因になりかねません。『危ないなぁ〜』『気をつけてほしいな〜』といった程度、感情を爆発させるような怒り方は避けたほうがいいですね」

 また、自身の感情に意識を向けて、自らを客観視できる人は怒りの感情のコントロールが上手なのだと言う。

「一度冷静になって、『こういう人もいるんだな。気をつけなきゃ』と納得できるようになれば理想的です。怒りの感情を爆発させてしまったら、どんな結果が待っているのかをイメージし、自分がどんな行動を選択をすべきなのか考えてみることです」

 たしかに。相手との車間距離を詰めて追突事故でも起こせば間違いなく加害者。いいことなど何ひとつない。

 さらに、これは、ある程度経験を積んだベテランドライバーに限られるかもしれないが……相手の運転の技量が自分より劣っていると思えば、「余裕がないから無謀な運転しかできないんだね。だからルールもマナーも守れないんだ」と、むしろ相手を憐れむ気持ちになろうというもの。腹を立ててもしかたがないという思考に切り替えられるというわけだ。

理性的な行動に必要な6秒”カウントダウン”

 怒りの度合いは人によって大きく違う。冒頭でも触れたようにハンドルを握った途端、性格が悪いほうに一変してしまう人もいる。もっと言えば、双極性(躁状態とうつ状態を繰り返す)障害の人でも運転が許されていないわけではない。とはいえ、クルマは”走る凶器”だ。ドライバーには、つねに怒りの感情を冷静にコントロールすることが求められる。

 今回、松島さんに効果的な方法をいくつか教えていただいた。

「代表的なものとして、”6秒”があります。怒りの感情が生じてから理性が介入するまでに6秒程度かかります。この6秒をやりすごすために6秒から5、4、3、2、1と数えることも有効です。理性的な行動をとれるようすることが目的なので10秒でも20秒でもかまいません。イライラして衝動的な行動をとってしまいそうになったら試してみてください。深呼吸をするのもいいと思います」

 また、ひとり言を唱えて自分に暗示をかける方法も広く推奨されている。

「”コーピングマントラ”と言われているマネージメント法のひとつですが、自分が落ち着く言葉を口にします。他車から無礼な振る舞いや嫌がらせを受けたとしましょう。相手にせず、『そうきたか〜』、『ぜんぜん大丈夫』など、自分を励ます言葉で気持ちを落ち着かせ、気分をリセットするのです」

 さらに、飲み物を口にするなど、自分がリラックスできる行動メニューをいくつか考えておいて、ここぞというときに実践することも効果が期待できると言う。

要注意! イライラを増幅する睡眠不足・焦り・空腹

 先に「思考・理性をコントロールする」のは進化脳(=前頭葉)だと述べた。正しく機能していれば、怒りの感情を抑えることができるこの進化脳も機能が低下することがある。

「睡眠不足や、決められた時間に遅れてしまいそうなときが危ないですね。とくに睡眠不足や体調不良は判断力が鈍って、焦りや、ちょっとしたことでもイライラを生じてしまい、衝動的な行動をとりやすくなります」(松島さん)

 当たり前の話だが、運転する前は睡眠を十分にとり、渋滞などを見越して時間に余裕を持って出発するようにしたいもの。また、空腹感がイライラを助長することも多く、眠気をもよおさない程度にお腹を満たしておく必要があるだろう。

 アンガーマネジメント(怒りの感情の管理)の方法はまだあり、手近なところでは、「ガムを噛むこと」だと松島さんは言う。ガムの咀嚼は”リズム運動”と呼ばれ、脳の血流がよくなり、前頭葉の運動野では10〜40%も血流が増加したという実験結果も得られている。同乗者との「会話」もまた、”幸せホルモン”とも呼ばれる脳内の神経伝達物質のひとつ、セロトニンの分泌を促して前頭葉を活性化、精神状態を安定させる働きをするそうだ。

 さらに根本的な方法としては、認知行動変容(気持ちが揺れ動いた際に自分の考え方や行動に目を向けること)があり、感情のコントロール機能を高めることが可能。若いうちから実践すると、より効果的だと言われている。

 どうしても感情のコントロールがうまくできないと思ったら、ひとりで悩まず、最悪の事態を招く前に専門の医療機関などでカウンセリングなどを受けることも検討したい。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年11月号」の記事を再構成して掲載しております


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