迂回する場合も好きな道を走っちゃダメ! たとえ回送中でも大型路線バスは走行ルートが厳密に決められていた!!

この記事をまとめると

■営業運行中の路線バスは認可されたルートを走るため迂回は原則できない

■回送車は法的制約は少ないが会社が定めた回送ルートに従って運行される

■事故や渋滞時には迂回できる場合もある

社内ルールに基づいて運行されていることがほとんど

 たまに、客を乗せず停留所には停車しない路線バスを見かけることがある。行先表示板に「回送車」と書かれた、営業所や始発停留所などに向かう車両だ。普段は決められた時刻とルートを守って走る路線バスだが、回送車両はどのようなルールで運行しているのだろう。「渋滞しているから裏道へ逃げよう」などといった、臨機応変なルート変更は許されているのだろうか。

 路線バスが乗客を乗せて走る営業運行については、ガチガチの法的縛りがある。道路運送法に基づき、バス会社は事前に国土交通省へ運行系統や停留所の位置を申請し、認可・届出を受けなければならない。そのため、営業中のバスは「渋滞しているから」などという理由だけで、勝手にルートを外れることは原則として許されないのだ。勝手な迂回は、そのルート上でバスを待っている乗客を置き去りにすることになり、法令違反に問われる。

 しかし、乗客を乗せない回送運行となれば話が変わってくる。回送車は、乗合バスとしての運送契約が発生していない状態。つまり、「ただの大型車両の移動」として扱われることになる。ゆえに、道路運送法が規定する事業計画の路線という定義に縛られることはないと解釈されているのだ。

 法的縛りがないのであれば、運転士がその日の気分で自由にルートを選べるのかといえばそうではない。バス会社ごとに違いはあるものの、安全性とコストを考慮した営業所から始発停留所、あるいは終着停留所から営業所までの基本の回送ルートがあらかじめ決められている。これは、通行するバスの大きさ・重量・内輪差などをもとに、道幅や車線幅・ガードや歩道橋の高さ・右左折の状況などを運行管理者が事前に精査して選定している。

 もし、基本ルートが事故や渋滞で混雑している場合、法的に迂回をすることは可能だが、社内ルールによって一定の制限が設けられている。多くのバス会社では、運転士の独断で自由に迂回をすることは推奨していない。なぜなら、大型バスが狭い生活道路に迷い込むなどすれば、立ち往生や接触事故のリスクがあるからだ。そのため、渋滞時の迂回ルートも「第2候補」「第3候補」として事前に決められているケースが大半である。もし大幅な迂回を行う必要があると運転士が判断した場合は、運行管理者に無線連絡を入れて指示を仰ぐのが一般的だ。

 また、経費面からの制限もある。たとえば高速道路などの有料道路を経由して回送する場合、会社は回送運行計画としてETCの利用代金や燃費の管理を行う。このとき、運転士の判断で勝手に一般道へ降りることは、会社の経費管理や労務管理の観点から禁止されていることが多い。また、国や自治体から運行の補助金を受けている路線の場合、回送も含めた走行距離が補助金の算出根拠になることが多い。そのため、厳密にルートが指定されていて変更できないこともあるのだ。

 路線バスの回送車は、営業運行のようなルートの縛りを受けないから、事故や渋滞などの際には別のルートへ回避する自由度がある。しかし、それは「どこを走ってもいい」ということではない。あくまで、運転士の判断と緻密な社内ルールの範囲内で、臨機応変な対応を任されているということである。普段何気なく見かける回送車も、じつは次の運行をスムースに始めるための計算されたルートを走っているということなのだ。


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