距離が伸びなきゃクルマは長持ち……は勘違い! チョイ乗りに1週間放置がクルマの寿命を削っていた (2/2ページ)

ウォーミングアップは「走りながら」が鉄則

 一方、クルマの重さによる各部品への負荷も、長期間クルマを動かさないことによる弊害だ。たとえば、前後左右の車軸に組み込まれているベアリング(転がり軸受け)に長期間かつ局所的に車重が加わって変形してしまうことがあり、最悪、タイヤも部分的に凹んで走行中に大きな振動を発生する。すぐに元に戻るというものではなく、長期にわたる振動は不快なだけではなく、ベアリングやサスペンション以外にも、車両全体に伝わって寿命を縮める原因になる。

 なお、自動車の工作精度は、かつてから飛躍的に向上。最近は「新車の慣らし運転は不要」とする説が有力だ。それでも、エンジンやトランスミッションの内部、ブレーキやサスペンションなど、初期段階に複数の部品同士を馴染ませる目的で、速度・負荷を抑えた丁寧な運転を1000km程度は心がけたほうが望ましい。少なからず、後々のグッドコンディションとロングライフを期待できるはずだ。

 誰でも起き抜けに全力で走るのはキツい。無理をすれば身体を痛めるだろう。クルマも同じ。ウォーミングアップ=暖機は欠かせない。文字どおり機能部品を暖めることを言い、エンジンであれば、負担をかけず、冷え切ったオイルを十分に暖めて内部をくまなく潤滑させ、部品の摩耗を防ぐことなどが目的だ。

 また、金属製のピストンやシリンダーなどは、燃料を爆発させた際の熱で膨張(=熱膨張)することまで考慮して寸法などが緻密に設計されている。つまり、エンジンが冷えた状態ではまだ正常に作動させることができず、無理にまわせば部品に負荷を与えて摩耗を早め、本来の性能を引き出せなくもなるということ。

 もっとも、完全に暖まるまでアイドリングを続けるのはNGだ。排ガスを浄化するための触媒は熱を持たないと機能しない。触媒が冷えた状態での長時間アイドリングは、周囲に有毒ガスを撒き散らすのに等しい行為だからだ。

 エンジンを始動したらすぐに走り出して低回転・低速をキープし、走りながら暖機すればいい。これは、走らないと暖まらないトランスミッションやデフ、サスペンションなどのウォーミングアップも兼ねていて、一石二鳥と言える。

 同じく避けるべきは、短時間/距離の移動ですぐエンジンを止める、いわゆる”チョイ乗り”。たまのことなら神経質になる必要はないが、暖まる前にエンジンを止めてしまうと、燃料の濃い状態が続いて燃焼効率が悪化、内部に燃料の燃えカス(スラッジ)が蓄積しやすくなる。エンジンの調子を落とし、寿命を縮めることにもつながるのだ。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年9月号」の記事を再構成して掲載しています


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