かつての装備が消えた背景には安全性の問題があった
シートベルト義務化によって、絶滅したのがフロント“3人掛け”のベンチシートだ。
フロントの乗車定員を3人とするシートは、トラックなどでは多く見かけるが、乗用車では完全に消滅したといえる。もっとも大きな理由は、前席中央に3点式シートベルトを備えることが非現実的な点にある。シートにベルトを内蔵させるとスペースをとってしまうため運転席が狭くなるし、天井からシートベルトを引っ張ってくるレイアウトは、後席乗員の視界や安全性の点から難しいといえる。
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シートベルト問題が解決したとしても、今度はSRSエアバッグの問題が出てくる。いずれにしても衝突時の安全性を考えると、乗用車における前席ベンチシートが復活することはなさそうだ。
安全性は、インパネのデザインにも影響を及ぼしている。
1960年代くらいまでは、インパネ自体が金属パネルで作られていたり、金属製スイッチ類が当たり前のように使われていたりした。しかしながら、現在の安全基準を前提にすると、そうしたインテリアは“ありえない”デザインだ。
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逆にいえば、古い設計のクルマというのは衝突エネルギーを受け止める能力に欠けるだけでなく、乗員保護の視点からも攻撃性の強いデザインとなっている。旧車を愛でるには、そうしたリスクを負っていることは認識しておきたい。
外観においても安全性によって変化が生まれている。
その最たるものがボンネットの先端に置かれていたマスコットの消滅だろう。メルセデスの「スリーポインテッドスター」、ジャガーの「リーピングジャガー」、そしてロールス・ロイスの「スピリット・オブ・エクスタシー」などがボンネットマスコットの代表例。国産車でもトヨタ・センチュリーや日産シーマなどに、ボンネットマスコットは採用されていた。昭和のクルマ好きからすると高級車の象徴的なアイテムだ。
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しかし、これも歩行者保護の視点からは単に攻撃性を増す装備でしかない。ロールスロイスは衝突を検知するとマスコットを瞬時に格納するメカニズムを採用することで、ブランドの象徴たる「スピリット・オブ・エクスタシー」を残しているが、そうした一部の高級サルーンを除けば、基本的にはボンネットマスコットは消えゆく装備といえる。
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はたして、安全性の影響で消えつつある昭和の懐かしい装備が帰ってくることはあるのだろうか。完全自動運転になって、ほぼ交通事故がなくなれば、安全へのアプローチが変わるかもしれないが、それまでは思い出限定の装備やデザインといえそうだ。