この記事をまとめると
■PTPSは路線バスなどの公共車両を優先的に通行させるための交通システム
■光ビーコンや車載装置を活用し定時運行や渋滞緩和、公共交通の利便性向上に貢献している
■GPSや通信技術との連携も進み自動運転や電動化時代を支える基盤技術である
円滑なバスの交通を助ける驚きのシステム
朝の通勤時間帯、渋滞でなかなか進まない路線バスにイライラした経験をもつ人は多いだろう。ところが最近、路線バスに乗っていると、まるでバスを待っているかのように青信号のまま通過できたり、赤信号が早めに青へ切り替わったりする場面に遭遇することがある。じつはこれは偶然ではない。バスが信号機と「対話」して、バスが優先的に通行できるように信号が制御されているのだ。この仕組みが公共車両優先システム、通称「PTPS」である。自動運転技術が話題を集める昨今だが、こうした地道な交通制御技術こそが都市交通を支える縁の下の力もちとなっている。
都市部を走る路線バスは、通勤や通学、買い物の足として欠かせない公共交通機関である。しかし、自家用車の増加や道路事情により、慢性的な交通渋滞に巻き込まれ、時刻表通りの定時運行が困難になる課題を抱えてきた。バスの遅延は利用者の減少を招き、それが路線の廃止や減便につながる悪循環を生み出す。この問題を解決するために導入されたのが、バスをはじめとする公共車両が交差点をスムースに通過できるよう支援するPTPSである。
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PTPSは「Public Transportation Priority Systems」の略で、日本語では公共車両優先システムと呼ばれる。警察庁が推進する新交通管理システム(UTMS、Universal Traffic Management Systems)を構成するサブシステムのひとつで、UTMSはより広い枠組みである高度道路交通システム(ITS)の一部に位置づけられる。路線バスなどの公共車両を優先的に走行させることを目的としている。
その中核となるのが信号制御である。バスには専用の車載装置が搭載されており、道路上に設置された光ビーコンと呼ばれる装置と通信を行う。光ビーコンは近赤外線を用いて路上の車両と情報をやりとりする路側装置だ。バスがビーコンの下を通過すると、バスの接近情報が交通管制センターや信号制御機に伝えられる。この情報をもとに、たとえばバスが交差点へ近づいた際に、青時間を延長したり、他方向の青時間を短縮したりして、バスが停止せずに通過しやすくする。これにより、乗客の所要時間短縮だけでなく、発進・停止の回数減少による運行の安定化も期待できる。
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つまりバスの接近を検知した交通制御システムが、バスの通過を助けるように信号のタイミングを調整しているわけだ。重要なのは、これはバスに無条件の優先権を与える仕組みではないという点である。信号制御は歩行者保護や交差道路の交通量、全体の交通流との整合を前提に行われる。したがって、常にバスのために信号が変わるわけではなく、交通管制の枠内で許容される範囲の優先制御として設計されている。ここを誤解すると「バスだけが特別扱いされる不公平なシステム」のように映るが、実際には多数の利用者を運ぶ公共交通の効率改善を通じて、道路全体の便益を狙う考え方である。