バスに乗ってるとなぜか赤信号に引っかからない……は気のせいじゃなかった! バスをスムースに走らせるため信号と連携する「PTPS」とは (2/2ページ)

自動運転を含む次世代の協調型交通システムを支える基盤技術

 PTPSは信号制御だけで完結するものではない。多くの場合、バス専用レーンやバス優先レーンといった道路空間の整備とセットで運用される。専用の走行空間を確保した上で信号制御を組み合わせることで、バスの定時性(時刻表どおりに運行できること)が大きく向上する。

 バスが渋滞でいつ到着するか予測できないという状況は、利用者の公共交通離れを招く大きな要因となる。逆に、時刻表どおりに走るバスは信頼され、マイカーからの利用転換を促す。結果として道路全体の交通量が減り、渋滞の緩和や排出ガスの削減にもつながっていく。乗用車1台あたりの輸送人数に比べ、バスははるかに多くの人を運ぶことができるため、限られた道路空間を効率よく使うという観点からも、公共車両を優先させる合理性がある。

 近年ではPTPSの技術的な発展も進んでいる。従来の光ビーコンに加え、GPSや通信技術を活用してバスの位置をより正確に把握する方式や、バスの遅れ具合に応じて優先制御の度合いを変える柔軟な制御なども研究され導入が進められている。定時運行しているバスには過度な優先を与えず、遅れているバスには手厚く優先するといった調整により、一般車両への影響を抑えつつ効果を高める工夫がなされている。

 PTPS自体はバスの動力源を問わない技術であり、ディーゼルバスでも電気バスでも同様に機能する。だからこそ路線バスの電動化が各地で進む現在、PTPSのもつ意味は一段と大きくなっている。

 電気バスは走行中に排出ガスを出さないという利点をもつが、その環境性能を最大限に活かすには、バスがスムースに走行できることが望ましい。電気バスであっても、頻繁な加減速は回生ブレーキ(減速時の運動エネルギーを電力として回収する仕組み)で一部回収できるものの、電力消費を増やす要因となる。信号制御によって不要な停止や再加速を減らせば、電力消費を抑え、バッテリーの走行可能距離を延ばすことにも寄与する。加えて、静かでクリーンな電気バスが定時性の高い運行を実現すれば、都市交通の魅力は一層高まる。環境性能と利便性というふたつの価値を両立させるうえで、PTPSのような交通制御技術と車両の電動化は、互いを補完し合う関係にあるといえる。

 自動運転バスの実証実験も各地で行われているが、こうした次世代の交通においても、道路インフラと車両が通信して協調する発想は共通している。PTPSは、ITSを支える重要な技術のひとつであり、今後の協調型交通システムにもつながる技術である。次にバスに乗る機会があれば、信号の変わり方に少し注意を向けてみると、静かに働くこの仕組みの一端を感じ取れるかもしれない。


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