懲りない人に命ぜられる自転車運転講習の受講
なかには「クルマの違反と比べればたいした反則金じゃない」とタカをくくっている人もいるかもしれないが、大きな誤り。「自転車運転者講習制度」がある。
これは危険な違反を繰り返した自転車運転者に対して安全運転の大切さについての”気づき”を促し、再び危険な違反をしないようにするために導入された制度。具体的には14歳以上の者が、16種別(通行区分違反、通行禁止違反、信号無視など)の交通違反で3年以内に2回以上反復して検挙され、または交通事故を起こしたとき、公安委員会によって「自転車運転者講習」の受講が命じられるというもの。当然、受講料は有料だ。
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それでもなお、「クルマじゃないから免許証に違反点数が付くわけじゃないし……」と嘯(うそぶく)く人がいるかもしれない。が、じつは、こうした考え方もヤバいのだ。
公安委員会が、「自動車などを運転することが著しく道路における危険を生じさせるおそれがある」と認めるときは、運転免許保持者に対して、6カ月を超えない範囲内で期間を定めて運転免許の停止処分が行われるというのだ。
自転車の刑事処罰の対象となる赤切符交付のケースに限られるとはいえ、運転免許を所持している人が、自転車でひき逃げ事故や死亡事故などの重大事故を起こした場合や、酒酔い/酒気帯び運転をはじめとしたとくに悪質・危険な違反を犯した場合に、運転免許の効力が停止されることがあるという。
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実際、令和6年11月には、自転車の酒気帯び運転で検挙された40〜50歳代の男性3名に対し、自動車などを運転することが道路における危険を生じさせるおそれがあるとして、6カ月以内で運転免許を停止する処分が下された。
今回の自転車の青切符制度は、ドライバーにとって自転車との事故リスクの低減が期待される一方、自転車にも乗ることがあるドライバーには、運転免許証を失いかねない制度であることも覚えておく必要がある。
クルマより青切符が怖い? 狭い道もひたすら車道
2026年4月の自転車の交通反則通告制度(青切符)が始まって以降、街なか、とくに片側1車線の道路で走りにくさを覚えている人が多いだろう。理由は簡単だ。いままで歩道(あるいは路側帯)を当たり前のように走っていた自転車が、青切符を恐れて、いっせいに”原則車道左側通行”を遵守しだしたからにほかならない。
道幅が狭い道路にもかかわらず、頑なに路側帯の白線から車道にハミ出して走る自転車が急増。自転車を追い越すに追い越せずイライラを募らせているクルマを頻繁に見かけるようになり、筆者自身も同様の状況に何度か出くわすようになった。
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自転車を運転している人が、『歩道のない道路で白線だけの路側帯がある場合、道路左側部分の路側帯に限って、歩行者を妨げない速度と方法で通行可能』というルールを理解していないために起こっている、由々しき問題だ。”自転車は車道左側通行”だけがひとり歩きした結果、クルマと自転車の接触/衝突のリスクは以前より格段に増したと言っていいかもしれない。
先の、自転車と歩行者の事故のうち歩行者が死亡または重傷に至った事故の衝突地点は歩道(路側帯も含む)が最多という状況を鑑みれば、致し方ない部分もあるのかもしれない。しかしそれでも、自分の身を危険にさらしてまで車道を走る必要がどこにあるのか。
自転車を運転する側も交通ルールを理解することが必須とは言え、警察も原則車道左側通行を啓蒙するばかり。例外を含めた自転車の正しい走り方の周知徹底がなされていないのはどうなのか?
抜くに抜けない自転車は忍の一字で堪えるべし!
自転車は停止している状態では自立できないきわめて不安定な乗り物だ。さらに路面のワダチや凸凹などにハンドルを取られて進路を乱すこともあれば、女性やお年寄りなど脚力の弱い人は思うようにペダルを踏み込めず、場所によっては前に進む力を落として安定性を欠くこともある。さらに、注意力散漫の子どもがペダルを漕ぐ自転車は、予想もしない方向にいきなり進路を変えかもしれないもっとも注意すべき存在だ。
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件の青切符制度を含め、いまさらルールが変わるはずもなく、クルマと自転車の横方向の間隔の問題はきっとこれからも続くに違いない。だとしたら、我々ドライバーが自転車を避けるしかない。
自分のクルマと横方向の間隔が十分に取れない状況で追い抜くことは絶対に避けるべき。抜けない状況であれば、無理せず待つことだ。ジレてもしかたない。幅員が広くなった地点で抜き去ればいい。道交法では、原則として白の破線のセンターライン以外(白や黄色の実線)は、対向車線にはみ出しての追い越しが認められられていないのはご存知だろう。
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メリットがあればデメリットもある。今回の青切符制度の導入は、自転車に対する「車道左側通行」の啓蒙という点で、ドライバーにとってまた悩ましい問題がひとつ生まれたということだ。
※本記事は雑誌「CARトップ2026年7月号」の記事を再構成して掲載しています